389 |
衛の霊公、陳を孔子に問う。孔子対えて日わく、爼豆の事は則ち嘗て之を聞けり、軍旅の事は未だ之を学ばざるなり。明日遂に行る。 |
390 |
陳に在して糧を絶つ。従者病みて、能く興つこと莫し。子路慍み見えて日わく、君子も亦窮すること有るか。子日わく、君子固より窮す。小人窮すれば斯に濫る。 |
391 |
子日わく、賜や、女は予を以て多く学びて之を識る者と為すか。対えて日わく、然り、非なるか。非なり。予は一以て之を貫く。 |
392 |
子日わく、由、徳を知る者は鮮し。 |
393 |
子日わく、無為にして治る者は、其れ舜なるか。夫れ何をか為すや。己を恭しくして正しく南面するのみ。 |
394 |
子張、行われんことを問う。子日わく、言忠信、行篤敬なれば、蠻貊の邦と雖も行われん。言忠信ならず、行篤敬ならざれば、州里と雖も行われんや。立ちては則ち其の前に参するを見、輿に在りては則ち其の衡に倚るを見るなり。夫れ然る後に行われん。子張、諸を紳に書す。 |
395 |
子日わく、直なるかな史魚、邦に道有るにも矢の如く、邦に道無きにも矢の如し。君子なるかな蘧伯玉、邦に道有れば則ち仕え、邦に道無ければ則ち巻いて之を懐にすべし。 |
396 |
子日わく、与に言うべくして之と言わざれば、人を失う。与に言うべからずして之と言えば、言を失う。知者は人を失わず、亦言を失わず。 |
397 |
子日わく、志士仁人は、生を求めて以て仁を害することなく、身を殺して以て仁を成すこと有り。 |
398 |
子貢、仁を為さんことを問う。子日わく、工、其の事を善くせんと欲すれば、必ず先ずその器を利くす。是の邦に居りては、其の大夫の賢なる者に事え、其の士の仁なる者を友とす。 |
399 |
顔淵、邦を為めんことを問う。子日わく、夏の時を行い、殷の輅に乗り、周の冕を服す。楽は則ち韶舞、鄭声を放ち、佞人を遠ざく。鄭声は淫、佞人は殆し。 |
400 |
子日わく、人にして遠き慮無ければ、必ず近き憂有り。 |
401 |
子日わく、己んぬるかな。吾未だ徳を好むこと、色を好むが如くする者を見ざるなり。 |
402 |
子曰わく、臧文仲は、其の位を竊む者か。柳下恵の賢を知りて與に立たざるなり。 |
403 |
子曰わく、躬自ら厚くして、薄く人を責むれば、則ち怨に遠ざかる。 |
404 |
子曰わく、之を如何、之を如何と曰わざる者は、吾之を如何ともする末きのみ。 |
405 |
子日わく、群居して終日、言、義に及ばず、好んで小慧を行う。難いかな。 |
406 |
子日わく、君子、義以て質と為し、礼以て之を行い、孫以て之を出し、信以て之を成す。君子なる哉。 |
407 |
子日わく、君子は能無きを病う。人の己を知らざるを病えず。 |
408 |
子日わく、君子は世を没えて名の称せられざるを疾む。 |
409 |
子日わく、君子は諸を己に求む。小人は諸を人に求む。 |
410 |
子日わく、君子は矜にして争わず、群して党せず。 |
411 |
子日わく、君子は言を以て人を挙げず、人を以て言を廃せず。 |
412 |
子貢問うて日わく、一言にして以て身を終うるまで之を行うべき者有りや。子日わく、其れ恕か。己の欲せざる所、人に施すこと勿れ。 |
413 |
子日わく、吾の人に於けるや、誰をか
子日わく、吾の人に於けるや、誰をか毀り誰をか誉めん。如し誉むる所の者有らば、其れ試むる所有らん。斯の民や、三代の直道にして行う所以なり。 |
414 |
子日わく、吾は猶史の闕文に及ぶなり。馬有る者は人に借して之に乗らしむ。今は則ち亡きかな。 |
415 |
子日わく、巧言は徳を乱る。小忍ばざれば、則ち大謀を乱る。 |
416 |
子日わく、衆之を悪むも必ず察し、衆之を好むも必ず察す。 |
417 |
子日わく、人能く道を弘む。道、人を弘むるに非ず。 |
418 |
子日わく、過ちて改めざる、是を過ちと謂う。 |
419 |
子日わく、吾嘗て終日食わず、終夜寝ねず、以て思う。益無し。学ぶに如かざるなり。 |
420 |
子日わく、君子は道を謀りて食を謀らず。耕して餒其の中に在り。学べば禄其の中に在り。君子は道を憂えて貧しきを憂えず。 |
421 |
子日わく、知は之に及べども、仁之を守ること能わざれば、之を得ると雖も必ず之を失う。知は之に及び、仁能く之を守れども、荘以て之に@まざれば、則ち民敬せず。知は之に及び、仁能く之を守り、荘以て之に@めども、之を動かすに礼を以てせざれば、未だ善からざるなり。 |
422 |
子日わく、君子は小知すべからずして、大受すべきなり。小人は大受すべからずして、小知すべきなり。 |
423 |
子日わく、民の仁に於けるや、水火よりも甚だし。水火は吾踏みて死する者を見る。未だ仁を踏みて死する者を見ざるなり。 |
424 |
子日わく、仁に當たりては師にも譲らず。 |
425 |
子日わく、君子は貞にして諒ならず。 |
426 |
子日わく、君に事うるには、其の事を敬して、其の食を後にす。 |
427 |
子日わく、教え有りて類無し。 |
428 |
子日わく、道同じからざれば、相為に謀らず。 |
429 |
子日わく、辞は達するのみ。 |
430 |
師冕見ゆ。階に及べり。子日わく、階なり。席に及べり、子日わく、席なり。皆坐す。子之に告げて日わく、某は斯に在り、某は斯に在り。師冕出ず。子張問うて曰く、師と言うの道か。子日わく、然り。固より師を相くるの道なり。 |