431 |
季氏、将に顓臾を伐たんとす。冉有・季路孔子に見えて曰わく、季氏将に顓臾に事有らんとす。孔子日わく、求、乃ち爾是れ過てること無きか。夫れ顓臾は昔者先王以て東蒙の主と為し、且つ邦域の中に在り。是れ社稷の臣なり。何を以てか伐つことを為さん。冉有曰わく、夫子之を欲す。吾ニ臣は皆欲せざるなり。孔子日わく、求、周任言えること有り。曰わく、力を陳べて列に就き、能わざれば止むと。危くして持せず、顛って扶けずんば、則ち将た焉んぞ彼の相を用いん。且つ爾の言は過てり。虎兕柙より出で、亀玉櫝中に毀るれば、是れ誰の過ちぞや。冉有曰わく、今夫れ顓臾は固くして費に近し。今取らずんば、後世必ず子孫の憂と為らん。孔子日わく、求、君子は夫の之を欲すと日うを舎いて必ず之が辞を為るを疾む。丘や聞く、国を有ち家を有つ者は寡なきを患えずして均しからざるを患え、貧しきを患えずして安からざるを患うと。蓋し均しければ貧しきことなく、和すれば寡なきことなく、安ければ傾くことなし。夫れ是くの如くなるが故に、遠人服せざれば則ち文徳を脩めて以て之を来たす。既に之を来たせば則ち之を安んず。今由と求とは夫子を相け遠人服せざれども来たすこと能わず、邦、分崩離析すれども守ること能わず、而して干戈を邦内に動かさんことを謀る。吾、季孫の憂いは顓臾に在らずして蕭牆の内にあるを恐るるなり。 |
432 |
孔子日わく、天下道有れば、則ち礼楽征伐、天子より出ず。天下道無ければ、則ち礼楽征伐、諸候より出ず。諸候より出ずれば、蓋し十世にして失わざること希なり。大夫より出ずれば、五世にして失わざること希なり。陪臣国命を執れば、三世にして失わざること希なり。天下道有れば、則ち政大夫に在らず。天下道有れば、則ち庶人議せず。 |
433 |
孔子日わく、禄の公室を去ること五世なり。政の大夫に逮ぶこと四世なり。故に夫の三桓の子孫は微なり。 |
434 |
孔子日わく、益者三友、損者三友。直きを友とし、諒を友とし、多聞を友とするは、益なり。便辟を友とし、善柔を友とし、便佞を友とするは、損なり。 |
435 |
孔子日わく、益者三楽、損者三楽。礼楽を節せんことを楽しみ、人の善を道うことを楽しみ、賢友多きを楽しむは、益なり。驕楽を楽しみ、佚遊を楽しみ、宴楽を楽しむは、損なり。 |
436 |
孔子日わく、君子に侍るに三愆有り。言未だ之に及ばずして言う、之を躁と謂う。言之に及びて言わざる、之を隠と謂う。未だ顔色を見ずして言う、之を瞽と謂う。 |
437 |
孔子日わく、君子に三戒有り。少き時は血気未だ定まらず、之を戒むること色に在り。其の壮んなるに及んで血気方に剛なり、之を戒むること闘に在り。其の老ゆるに及んでは血気既に衰う、之を戒むること得るに在り。 |
438 |
孔子日わく、君子に三畏有り。天命を畏れ、大人を畏れ、聖人の言を畏る。小人は天命を知らずして畏れず、大人に狎れ、聖人の言を侮どる。 |
439 |
孔子日わく、生まれながらにして之を知る者は、上なり。学びて之を知る者は、次なり。困しみて之を学ぶは、又其の次なり。困しみて学ばざるは、民斯を下と為す。 |
440 |
孔子日わく、君子に九思有り。視るには明を思い、聴くには聡を思い、色には温を思い、貌には恭を思い、言には忠を思い、事には敬を思い、疑わしきには問を思い、忿には難を思い、得るを見ては義を思う。 |
441 |
孔子日わく、善を見ては及ばざるが如くし、不善を見ては湯を探るが如くす。吾其の人を見る、吾其の語を聞く。隠居して以て其の志を求め、義を行ないて以て其の道を達す。吾其の語を聞く、未だ其の人を見ざるなり。 |
442 |
孔子日わく、誠に富を以てせず、亦祇に異なれるを以てす。斉の景公、馬千駟有り。死するの日、民徳として称する無し。伯夷叔斉は首陽の下に餓う。民今に到るまで之を称す。其れ斯を之れ謂うか。 |
443 |
陳亢伯魚に問うて曰わく、子も亦異聞有りや。対えて曰わく、未だし。嘗て独り立てり。鯉趨りて庭を過ぐ。日わく、詩を学びたりや。対えて曰わく、未だし。詩を学ばずんば、以て言うこと無し。鯉退きて詩を学べり。他日又独り立てり。鯉趨りて庭を過ぐ。日わく、礼を学びたりや。対えて曰わく、未だし。礼を学ばずんば、以て立つこと無し。鯉退きて礼を学べり。斯の二者を聞けり。陳亢退き喜びて曰わく、一を問いて三を得たり。詩を聞き、礼を聞き、又君子の其の子を遠ざくるを聞くなり。 |
444 |
邦君の妻、君之を称して夫人と日う。夫人自らを称して小童と日う。邦人之を称して君夫人と日う。諸を異邦に称して寡小君と日う。異邦人之を称して亦君夫人と日う。 |