289 |
顔淵、仁を問う。子日わく、己に克ちて礼に復るを仁と為す。一日己に克ちて礼に復れば、天下仁に帰す。仁を為すは己に由る。而して人に由らんや。顔淵日わく、請う、其の目を問わん。子日わく、礼に非ざれば視ること勿れ、礼に非ざれば聴くこと勿れ、礼に非ざれば言うこと勿れ、礼に非ざれば動くこと勿れ。顔淵日わく、回、不敏なりと雖も、請う、斯の語を事とせん。 |
290 |
仲弓、仁を問う。子日わく、門を出ては大賓を見るが如くし、民を使うには大祭に事えまつるが如くす。己の欲せざる所は、人に施すこと勿れ。邦に在りても怨み無く、家に在りても怨み無し。仲弓日わく、雍、不敏なりと雖も、請う、斯の語を事とせん。 |
291 |
司馬牛、仁を問う。子日わく、仁者は其の言や」ぶ。日わく、其の言や」ぶ、斯れ之を仁と謂うか。子日わく、之を為すこと難し。之を言うに」ぶ無きを得んや。 |
292 |
司馬牛、君子を問う。子日わく、君子は憂えず懼れず。曰わく、憂えず懼れず斯れ之を君子と謂うか。子日わく、内に省みて疚しからざれば、夫れ何をか憂え何をか懼れん。 |
293 |
司馬牛、憂えて曰わく、人は皆兄弟有り、我独り亡し。子夏曰わく、商之を聞く、死生命有り、富貴天に在り。君子は敬みて失うこと無く、人と与るに恭しくして礼有らば、四海の内、皆兄弟なり。君子何ぞ兄弟無きを患えんや。 |
294 |
子張、明を問う。子日わく、浸潤の譖り、膚受の愬え、行なわれざるは、明と謂うべきのみ。浸潤の譖り、膚受の愬え、行なわれざるを遠とも謂うべきのみ。 |
295 |
子貢、政を問う。子日わく、食を足し、兵を足し、民之を信にす。子貢日わく、必ず已むを得ずして去らば、斯の三者に於て何れをか先にせん。日わく、兵を去らん。日わく、必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於て何れをか先にせん。日わく、食を去らん。古自り皆死有り、民信無くんば立たず。 |
296 |
棘子成曰わく、君子は質のみ、何ぞ文を以て為さん。子貢曰く、惜しいかな、夫子の君子を説くや。駟も舌に及ばず。文は猶質のごとく、質は猶文のごときなり。虎豹の鞹は、猶犬羊の鞹のごときなり。 |
297 |
哀公、有若に問うて曰わく、年饑えて用足らず、之を如何にせん。有若対えて曰わく、盍ぞ徹せざるや。曰わく、二すら吾猶足らず、之を如何ぞそれ徹せんや。対えて曰わく、百姓足らば、君孰と与にか足らざらん。百姓足らずんば、君孰と与にか足らん。 |
298 |
子張、徳を崇くし惑を辨ぜんことを問う。子日わく、忠信を主として義に徒るは、徳を崇くするなり。之を愛しては其の生を欲し、之を悪みては其の死を欲す。既に其の生を欲して、叉其の死を欲するは、是れ惑なり。 |
299 |
斉の景公、政を孔子に問う。孔子対えて日わく、君君たり、臣臣たり、父父たり、子子たり。公日く、善い哉。信に如し君君たらず、臣臣たらず、父父たらず、子子たらずんば、粟有りと雖も、吾得て諸を食わんや。 |
300 |
子日わく、片言以て獄を折むべき者は、其れ由なるか。子路は諾を宿むること無し。 |
301 |
子日わく、訟を聴くは、吾猶人のごときなり。必ずや訟無からしめんか。 |
302 |
子張、政を問う。子曰わく、之に居りて倦むこと無く、之を行なうに忠を以てす。 |
303 |
子曰わく、博く文を学びて、之を約するに礼を以てせば、亦以て畔かざるべし。 |
304 |
子曰わく、君子は人の美を成し、人の悪を成さず。小人は是に反す。 |
305 |
季康子、政を孔子に問う。孔子対えて曰わく、政は正なり。子帥いるに正しきを以てすれば、孰か敢えて正しからざらん。 |
306 |
季康子、盜を患えて、孔子に問う。孔子対えて曰わく、苟くも子にして不欲ならば、これを賞すと雖も竊まざらん。 |
307 |
季康子、政を孔子に問うて曰わく、如し無道を殺して、以て有道に就かば、何如。孔子対えて曰わく、子、政を爲すに、焉ぞ殺を用いん。子、善を欲すれば、民善ならん。君子の徳は風なり、小人の徳は草なり。草、之に風を上うれば、必ず偃す。 |
308 |
子張問う、士何如なれば斯れ之を達と謂うべき。子曰わく、何ぞや、爾の所謂達とは。子張対えて曰わく、邦に在りても必ず聞え、家に在りても必ず聞ゆ。子曰わく、是れ聞なり、達に非ざるなり。夫れ達なる者は、質直にして義を好み、言を察して色を観、慮りて以て人に下る。邦に在りても、必ず達し、家に在りても必ず達す。夫れ聞なる者は、色に仁を取りて行ないは違い、之に居りて疑わず。邦に在りても必ず聞え、家に在りても必ず聞ゆ。 |
309 |
樊遲従いて舞雩の下に遊ぶ。曰わく、敢て徳を崇くし、慝を脩め惑を辨ぜんことを問う。子曰わく、善いかな問うこと。事を先にして得ること後をにするは、徳を崇くするに非ずや。其の悪を攻めて人の悪を攻むること無きは、慝を脩むるに非ずや。一朝の忿に其の身を忘れて以て其の親に及ぼすは、惑に非ずや。 |
310 |
樊遲、仁を問う。子曰わく、人を愛す。知を問う。子曰わく、人を知る。樊遲未だ達せず。子曰わく、直きを擧げて諸を枉れるに錯けば、能く枉れる者をして直からしむ。樊遲退いて子夏に見えて曰わく、嚮に吾夫子に見えて知を問う。子曰わく、直きを擧げてこれを枉れるに錯けば、能く枉れる者をして直からしむと。何の謂ぞや。子夏曰わく、富めるかな、是の言や。舜、天下を有ち、衆に選びて皐陶を擧げ、不仁の者遠ざかる。湯、天下を有ち衆に選びて伊尹を擧げ、不仁の者遠ざかる。 |
311 |
子貢、友を問う。子曰わく、忠やかに告げて善く之を道き、不可なれば則ち止む。自ら辱めらるることなかれ。 |
312 |
曽子曰わく、君子は文を以て友を会し、友を以て仁を輔く。 |