313 |
子路、政を問う。子日わく、之に先んじ之を労う。益を請う。日わく、倦むこと無かれ。 |
314 |
仲弓、季氏の宰と爲りて、政を問う。子日わく、有司を先にし、小過を赦し、賢才を挙げよ。日わく、焉んぞ賢才を知りて之を挙げん。日わく、爾の知る所を挙げよ。爾の知らざる所、人其れ諸を舎てんや。 |
315 |
子路日わく、衛の君、子を待ちて政を為さば、子将に奚をか先にせん。子日わく、必ずや名を正さんか。子路日わく、是有るかな、子の迂なるや。奚ぞ其れ正さん。子日わく、野なるかな、由や。君子は其の知らざる所に於ては蓋し闕如たり。名正しからざれば則ち言順わず、言順わざれば則ち事成らず、事成らざれば則ち礼楽興らず、礼楽興らざれば則ち刑罰中らず、刑罰中らざれば則ち民手足を措く所無し。故に君子は之に名づくれば必ず言うべきなり。之を言えば必ず行なうべきなり。君子其の言に於て、苟もする所無きなり。
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316 |
樊遅、稼を学ばんと請う。子日わく、吾老農に如かず。圃を為ることを学ばんと請う。日わく、吾老圃に如かず。樊遅出ず。子日わく、小人なるかな樊須や。上礼を好めば、則ち民敢て敬せざること莫し。上義を好めば、則ち民敢て服せざること莫し。上信を好めば、則ち民敢て情を用いざること莫し。夫れ是の如くんば、則ち四方の民、其の子を襁負して至らん。焉んぞ稼を用いん。 |
317 |
子日わく、詩三百を誦し、之に授くるに政を以てして達せず、四方に使いして専対すること能わざれば、多しと雖も亦奚を以て為さん。 |
318 |
子日わく、其の身正しければ、令せずして行われ、其の身正しからざれば、令すと雖も従わず。 |
319 |
子日わく、魯・衛の政は、兄弟なり。 |
320 |
子、衛の公子荊を謂わく、善く室に居れり.始めて有するや、日わく、苟か合えり。少しく有するや、曰わく、苟か完し。富みて有するや、曰わく、苟か美し。 |
321 |
子、衛に適く、冉有僕たり。子日わく、庶きかな。冉有日く、既に庶し。又何をか加えん。日わく、之を富まさん。曰く、既に富めり。又何をか加えん。日わく、之を教えん。 |
322 |
子日わく、苟くも我を用うる者有らば、期月のみにして可ならん。三年にして成すこと有らん。 |
323 |
子日わく、善人、邦を為むること百年、亦以て残に勝ちて殺を去るべしと。誠なるかな、是の言や。 |
324 |
子日わく、如し王者有らば、必ず世にして後に仁ならん。 |
325 |
子日わく、苟も、其の身を正しくせば、政に従うに於て何か有らん。其の身を正しくすること能わずんば、人を正しくすることを如何んせん。 |
326 |
冉子、朝よリ退く。子日わく、何ぞ晏きや。対えて日く、政有り。子日わく、其れ事ならん。如し政有らば、吾を以いずと雖も、吾其れ之を与り聞かん。 |
327 |
定公問う、一言にして似て邦を興すべきこと諸有りや。孔子対えて日わく、言は以て是くの若くなるべからざるも、其れ幾きや。人の言に日わく、君たること難し、臣たること易からずと。如し君たることの難きを知らば、一言にして邦を興すに幾からずや。日わく、一言にして邦を喪ぼすこと諸有りや。孔子対えて日わく、言は以て是くの若くなるべからざるも、其れ幾きや。人の言にと曰わく、予君たるを楽しむこと無し。唯其の言うことにして予に違うこと莫しと。如し其れ善にして、之に違うこと莫くんば、亦善からずや。如し不善にして、之に違うこと莫くんば、一言にして邦を喪ぼすに幾からずや。 |
328 |
葉公、政を問う。子日わく、近き者説べば、遠き者来たる。 |
329 |
子夏、莒父の宰となりて、政を問う。子日わく、速やかならんと欲すること母かれ。小利を見ること母かれ。速やかならんと欲すれば則ち達せず。小利を見れば則ち大事成らず。 |
330 |
葉公、孔子に語りて日わく、吾が党に直躬なる者有り。其の父、羊を攘みて、子之を証す。孔子日わく、我が党の直き者は是に異なり。父は子の為に隠し、子は父の為に隠す。直きこと其の中に在り。 |
331 |
樊遅、仁を問う。子日わく、居る処恭、事を執りて敬、人と与りて忠なるは、夷狄に之くと雖も、棄つべからざるなり。 |
332 |
子貢問うて日わく、何如なるか斯れ之を士と謂うべき。子日わく、己を行うに恥有り、四方に使して、君命を辱しめざるは、士と謂うべし。曰わく、敢て其の次を問う。日わく、宗族孝を称し、郷党弟を称す。曰わく、敢て其の次を問う。日わく、言必ず信、行必ず果、硜硜然として小人なるかな。抑亦以て次と為すべし。日わく、今の政に従う者は何如。子日わく、噫、斗筲の人、何ぞ算うるに足らんや。 |
333 |
子日わく、中行を得て之に与せずんば、必ずや狂狷か。狂者は進みて取り、狷者は為さざる所有るなり。 |
334 |
子日わく、南人言えること有り。日わく、人にして恒なくんば、以て巫医を作すべからずと。善いかな。其の徳を恒にせざれば、或は之に羞を承めん。子日わく、占わざるのみ。 |
335 |
子日わく、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。 |
336 |
子貢問うて日わく、郷人皆之を好せば何如。子日わく、未だ可ならざるなり。郷人皆之を悪まば何如。子日わく、未だ可ならざるなり。郷人の善き者は之を好し、其の善からざる者は之を悪むに如かざるなり。 |
337 |
子日わく、君子は事え易くして説ばしめ難し。之を説ばしむるに道を以てせざれば、説ばざるなり。其の人を使うに及びては、之を器にす。小人は事え難くして説ばしめ易し。之を説ばしむるに道を以てせずと雖も、説ぶなり。其の人を使うに及びては、備わらんことを求む。 |
338 |
子日わく、君子は泰にして驕らず、小人は驕りて泰ならず。 |
339 |
子日わく、剛毅木訥、仁に近し。 |
340 |
子路問うて曰わく、何如なるか斯れ之を士と謂うべき。子日わく、切切偲偲、怡怡如たれば、士と謂うべし。朋友には切切偲偲、兄弟には怡怡如たり。 |
341 |
子日わく、善人民を教うること七年、亦以て戎に即かしむべし。 |
342 |
子日わく、教えざるの民を以て戦う、是れ之を棄つと謂う。 |