209 |
子罕に利を言う、命と与にし、仁と与にす。 |
210 |
達巷党の人日わく、大いなるかな孔子、博く学びて名を成す所無し。子之を聞き、門弟子に謂いて日わく、吾何をか執らん。御を執らんか、射を執らんか。吾は御を執らん。 |
211 |
子日わく、麻冕は礼なり。今や純なるは倹なり。吾は衆に従わん。下に拝するは礼なり。今上に拝するは泰れるなり。衆に違うと雖も、吾は下に従わん。 |
212 |
子四を絶つ。意母く、必母く、固母く、我母し。 |
213 |
子匡に畏す。日わく、文王既に没したけれども、文茲に在らずや。天の将に斯の文を喪ぼさんとするや、後死の者、斯の文に与るを得ざるなり。天の未だ斯の文を喪ぼさざるや、匡人其れ予を如何にせん。 |
214 |
大宰子貢に問うて日わく、夫子は聖者か。何ぞ其れ多能なるや。子貢日わく、固に天之を縦して将に聖たらしめんとす。又多能なり。子之を聞き日わく、大宰我を知れるか。吾少かりしとき賤し。故に鄙事に多能なり。君子は多からんや。多からざるなり。 |
215 |
牢日わく、子云う、吾試いられず、故に芸ありと。 |
216 |
子日わく、吾知ること有らんや。知ること無きなり。鄙夫有りて我に問うに、空空如たり。吾其の両端を叩いて竭くす。 |
217 |
子日わく、鳳鳥至らず、河、図を出さず。吾已んぬるかな。 |
218 |
子、斉衰者と冕衣裳者と瞽者とを見れば、之を見て少しと雖も必ず作ち、之を過ぐれば必ず趨る。 |
219 |
顔淵、喟然として歎じて日わく、之を仰げば弥高く、之を鑽れば弥堅し。之を瞻るに前に在り。忽焉として後に在り。夫子循循然として善く人を誘う。我を博むるに文を以てし、我を約するに礼を以てす。罷めんと欲すれども能わず。既に吾が才を竭くせり。立つ所有りて卓爾たるが如し。之に従わんと欲すと雖も、由末きのみ。 |
220 |
子の疾病なり。子路、門人をして臣たらしむ。病間なるときに日わく、久しいかな、由の詐を行なうや。臣無くして臣有りと為す。吾誰をか欺かん。天を欺かんか。且つ予其の臣の手に死なん与りは、無寧二三子の手に死なんか。且つ予縦い大葬を得ずとも、予道路に死なんや。 |
221 |
子貢日わく、斯に美玉有り。匱に韞めて諸を蔵せんか、善賈を求めて諸を沽らんか。子日わく、之を沽らんかな、之を沽らんかな。我は賈を待つ者なり。 |
222 |
子、九夷に居らんと欲す。或ひと日わく、陋しきこと之を如何せん。子日わく、君子之に居らば、何の陋しきか之有らん。 |
223 |
子日わく、吾衛より魯に反りて、然る後に楽正しく、雅頌各其の所を得たり。 |
224 |
子日わく、出ては則ち公卿に事え、入りては則ち父兄に事う。喪の事は敢て勉めずんばあらず。酒の困を為さず。何か我に有らんや。 |
225 |
子、川の上に在りて日わく、逝く者は斯の如きか。昼夜を舎かず。 |
226 |
子日わく、吾未だ徳を好むこと、色を好むが如くする者を見ざるなり。 |
227 |
子日わく、譬えば山を為るが如し。未だ一簣を成さずして、止むは吾が止むなり。譬えば地を平かにするが如し。一簣を覆すと雖も、進むは吾が往くなり。 |
228 |
子日わく、之に語げて惰らざる者は、其れ回なるか。 |
229 |
子、顔淵を謂いて日わく、惜しいかな。吾其の進むを見るなり。未だ其の止まるを見ざるなり。 |
230 |
子日わく、苗にして秀でざる者有り。秀でて実らざる者有り。 |
231 |
子日わく、後生畏るべし。焉んぞ来者の今に如かざるを知らんや。四十五十にして聞くこと無くんば、斯れ亦畏るるに足らざるのみ。 |
232 |
子日わく、法語の言は、能く従うこと無からんや。之を改むるを貴しと為す。巽与の言は、能く説ぶこと無からんや。之を繹ぬるを貴しと為す。説びて繹ねず、従いて改めずんば、吾之を如何ともする末きのみ。 |
233 |
子日わく、忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無れ。過てば則ち改むるに憚ること勿れ。〔通釈〕 学而第一8章後段重出、その項を見よ。 |
234 |
子日わく、三軍も帥を奪うべきなり。匹夫も志を奪うべからざるなり。 |
235 |
子日わく、敝れたる縕袍を衣、狐貉を衣たる者と立ちて恥じざる者は、其れ由か。 |
236 |
忮わず求めず、何を用てか臧からざらん。子路終身之を誦す。子日わく、是の道や、何ぞ以て臧しとするに足らん。 |
237 |
子日わく、歳寒くして、然る後に松柏の彫むに後るるを知るなり。 |
238 |
子日わく、知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼れず。 |
239 |
子日わく、与に共に学ぶべし、未だ与に道に適くべからず。与に道に適くべし、未だ与に立つべからず。与に立つべし、未だ与に権るべからず。 |
240 |
唐棣の華、偏として其れ反せり。豈爾を思わざらんや。室是遠ければなり。子日わく、未だ之を思わざるなり。夫れ何の遠きことか之れ有らん。 |