〔原文〕
子曰、知及之、仁不能守之、雖得之、必失之。知及之、仁能守之、不荘以�@之、
則民不敬。知及之、仁能守之、莊以�@之、動之不以禮、未善也。

〔読み下し〕
子(し)日(のたま)わく、知(ち)は之(これ)に及(およ)べども、仁之(じんこれ)を守(まも)ること能(あた)わざれば、之(これ)を得(う)ると雖(いえど)も必(かなら)ず之(これ)を失(うしな)う。知(ち)は之(これ)に及(およ)び、仁(じん)能(よ)く之(これ)を守(まも)れども、荘(そう)以(もっ)て之(これ)に�@(のぞ)まざれば、則(すなわ)ち民敬(たみけい)せず。知(ち)は之(これ)に及(およ)び、仁(じん)能(よ)く之(これ)を守(まも)り、荘(そう)以(もっ)て之(これ)に�@(のぞ)めども、之(これ)を動(うご)かすに礼(れい)を以(もっ)てせざれば、未(いま)だ善(よ)からざるなり。

〔通釈〕
孔子云う、「人の上に立つ者は、頭が切れても思いやりに欠けていたら、折角得た地位も必ず失ってしまう。更に、頭が切れて思いやりがあっても、正々堂々と臨まなければ、人々は敬服しない。更に、頭が切れて思いやりがあり正々堂々と臨んでも、規律を厳格にしなければ、組織は円滑に作動しない。未だしだな!」と。

〔解説〕
人に長たるには、頭が切れるだけではダメ、優しいだけでもダメ、貫禄があるだけでもダメ、規律に厳格なだけでもダメ。適度に頭が切れて、適度に優しさがあって、適度に貫禄があって、適度に厳格さのあるトータルバランスが求められるってことですか…。

スペシャリストならば、一芸の才に秀でていればそれで務まるかも知れないが、ラインの長或はゼネラリストたるには、バランスのとれた人であれ!ということでしょう。バランスのとれた人とは、「中庸の人」ということですね。孔子の云う人に長たるの条件を、翻訳し直すとすれば、

      一、知は之に及び・・・・・・才知(現実処理能力・先見性)
      二、仁は之を守るに足り・・・包容力(思いやり・寛大さ)
      三、荘以て之に望み・・・・・胆力(度胸・気概)
      四、礼以て之を行う・・・・・品性(気品・礼節)

が程よく調和している人物ということになりましょうか?こういう人物いますかねえ?今の政治家や官僚に!?未だしじゃないのかな?殆どが。才知・包容力・胆力・品性、これは何も政治家ばかりではなく、人の上に立つ者すべてに求められることなのではないでしょうか

〔子供論語　意訳〕
孔子(こうし)様(さま)がおっしゃった、「リーダーには、一知恵(ちえ)、ニ愛情(あいじょう)、三勇気(ゆうき)、四厳正(げんせい)の四つが必要(ひつよう)だ。どれか一つがかけても人(ひと)はついて来(こ)ないものなんだよ」と。

〔親御さんへ〕
孔子と同時代に活躍した大兵法家の孫武は、リーダーの条件として、知(知恵)・信(信義)・仁(愛情)・勇(勇気)・厳(厳正)の五つを挙げています。(始計第一)二千五百年前も現代も、リーダーの条件は殆ど変わっていないようでして、愚鈍で薄情で臆病で曖昧な人には誰もついて行きません、「頼り甲斐のない人」のレッテルを貼られてしまうんですね。これに吝嗇(ケチンボ)が加わったらもうお終いです、頼り甲斐のない人の他に「卑しい奴」のレッテル迄貼られてしまいます。

新年合同例会で「引き寄せの法則」の話をしましたが、現実や環境が引き寄せられる時は、必ず人との出会いの縁つまり、人を介してやって来ますから、人が寄り付かなくなったら、幸運の女神も素通りして行ってしまう、運が遠退いてしまう訳ですね。(見合い結婚で幸せな家庭生活を送っている人は、痛感しているのではないでしょうか?仲人さんのお陰だって)

トップの必須要件に、一人望、二手腕、三先見性、四運が挙げられますが、知恵とは手腕と先見性のこと、愛情・勇気・厳正は人望のこと、これらの人望と手腕と先見性が人を引き寄せ、引き寄せられた人が媒介となって運が引き寄せられる。金の貧乏は稼げば何とかなるけれど、「人貧乏」したらお終いです。幸運を引き寄せたかったら、もっと人との出会いの縁を大切にしなさい!