衛靈公第十五 426

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〔原文〕
子曰、事君敬其事後其食。

〔読み下し〕
()(のたま)わく、(きみ)(つか)うるには、()(こと)(けい)して、()(しょく)(あと)にす。

〔通釈〕
孔子云う、「主君に仕えるには、自分に与えられた職務にベストを尽くすことを最優先に考えて、報酬のことは後回しにするものだ」と。

〔解説〕
今時、給与も労働条件も決めずに人を採用したら、労働基準法違反で訴えられてしまいますが、実際の所、新入社員が使いものになるまでには三年くらいかかります。三年かかって漸く自分の給料分位を稼げるようになる。その間、会社は給料を払って社員教育をしているようなもので、有給の司法研修生と同じです。「石の上にも三年」、やっと使いものになったかと喜んでいると、パッと条件のいい会社に鞍替えしてしまう。「そりぁねえだろう!?」と怒った所で始まらない、職業選択の自由は憲法で保障されている。

こういう時は、「折角手塩にかけて育ててやったのに、恩知らずな奴だ」と思うだけ野暮、「又一人卒業生が巣立って行ったか、めでたやめでたや!」思いを切り替えた方がいい、どうにもならないことなんだから。学校は授業料を取って教育する所、会社は給料を払って教育する所と割り切るしかないね。三年で、与えられた仕事にベストを尽くすことを覚えてくれたら、それでよしとしましょう、本人の一生の宝になるのだから。

尚、孔子は雍也第六141章でも樊遅に「難きを先にして、獲ることを後にす」と述べておりますから「まずやるべきことをやれ!報酬は後回し!」と度々弟子達に云っていたのではないでしょうか?やる前から「ナンボくれますか?」などというのは、はしたないと考えていたようです。

「与えられた仕事にベストを尽くせ!報いは後からついて来る!」というのが孔子の仕事観だったようですが、今の言葉で云えば「成果主義」ってことになりますかね?合理的な考えの持ち主だったんですね。

〔子供論語 意訳〕
孔子(こうし)(さま)がおっしゃった、「君達(きみたち)は、(あた)えられた課題(かだい)にベストを()くしなさい。やればやっただけの成果(せいか)()られる。今日(きょう)やるべきことを明日(あす)()ばしてはいけません!」と。

〔親御さんへ〕
「今日やるべきことを明日に延ばしてはいけません!」と云われてドキリとした親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。子供は見ていないようでちゃんと親の行動を見ておりますから、親の先送り癖・力の出し惜しみ癖をしっかり真似てくれます。良い所よりも悪い所を真似るのが子供の特技のようで、これには参ってしまいますね、鏡に映った自分の姿を見ているようなものですから。「人のふり見て我がふり直せ」というけれど、「子供のふり見て我がふり直せ」だね。

万事先送り癖・力の出し惜しみ癖は早く直した方がいい、体力気力の衰え始める四十代後半に必ずツケが回って来ます。それから立て直すのは大変です。先送り癖は信用されなくなります、力の出し惜しみ癖はアテにされなくなります、つまり、世間から相手にされなくなってしまいます。一時にまとめて片付けようとすると、息が切れて手抜かりが生じ、ここ一番の大勝負に粘りが切れて気抜けが生じてしまうんですね、先送り癖・力の出し惜しみ癖がつくと。
もしこういう方がおられたら、たった二つでいいからやってみて下さい。


    一、朝5時に起きて今日やることを箇条書きにする。
          (
明日やることは書かないこと)

  
二、箇条書きしたものを、重要度別に優先順位をつけて、重要度の
         高い仕事を午前中、低いものを午後に割り振る。


あとは順番に一つ一つこなして行けば良い。(但し、相手の都合もありますから、その時は相手に合わせたらいい)明日のことを思い煩うな!今日は今日一日のことにだけ集中してやればいい!今日一日の苦労は今日一日にて足れり!明日のことは明日自らが思い煩わん!!
 

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