子罕第九 237

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原文            作成日 2005年(平成17年)3月から6月
子曰、歳寒、然後知松柏之後彫也。
 
〔 読み下し 〕
()(のたま)わく、(とし)(さむ)くして、(しか)(のち)松柏(しょうはく)(しぼ)むに(おく)るるを()るなり。
 
〔 通釈 〕
孔子云う、「冬が来て寒くなってくると、木々は皆枯れてしまうが、松や桧などの常緑樹はいつ迄も枯れずに存在感を示しておる」と。
 
〔 解説 〕

順境の時はみなそれなりに一丁前面をしていますから、その人物の大きさは中々分からんものですが、逆境に遭遇してみると、途端にその人本来の志操・気節が露(あらわ)になって、正体が分かってしまいます。枯木のように萎れてしまうか、松柏のように堂々としているか?出来得れば、「得意澹然・失意泰然」と行きたいものであります。
 

〔 子供論語  意訳 〕
孔子(こうし)(さま)がおっしゃった、「(ふゆ)()(さむ)くなると、木々(きぎ)はみな()れてしまうのに、(まつ)(ひのき)(いち)(ねん)(じゅう)()れずに(がん)()っている。すごい生命力(せいめいりょく)だね」と。
 
〔 親御さんへ 〕

柏は落葉樹の筈だが、孔子はおかしなことを云うものだ?と思われるかも知れませんが、古来は桧や椹(さわら)などの常緑樹を一般に「柏(はく・かしわ)」と云ったそうですから、孔子が間違っている訳ではありません。柏餅の柏葉ではないんですね。お子さんに指摘されたら、「大昔は桧のことを柏と云ったんだよ。君も桧のように堂々とした人間になりなさい!」と励ましてやって下さい。
 

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