〔原文〕
子曰、君子泰而不驕、小人驕而不泰。
〔読み下し〕
子日わく、君子は泰にして驕らず、小人は驕りて泰ならず。
〔通釈〕
孔子云う、「出来た人物はゆったりと落ち着いて、少しも驕った所がない。これに対して、くだらない人物程驕り昴ぶって、少しも泰然自若とした所がない」と。
〔解説〕
これは身につまされる言葉です。自信のない人程ぶりたがり、自信のある人程謙虚ですからね。偉ぶる、通ぶる、知ったかぶる・・・、皆自分に自信のない時の特徴です。昔の手柄話しや自慢話しをして、悦に入っている人に時々出会しますが、こういうのを「利口—バカ」と云うんですね。いるでしょう?皆さんの身の周りにも。「昔そんなに偉かったのなら、どうして今こんなにバカなんだ!?」と云いたくなるような人が。
何度も云うようですが、利口—バカよりバカー利口の方が、一枚も二枚も上手(うわて)なんです。バカー利口になれんのは、大したことのない証拠です。他人事ではありません、この文章は孔子が私に向かって云っているのではないかと、ドキリとします。他人事と思っているうちはまだ死に学問、活学じゃないね。本当は怖いんですよ、論語の孔子の言葉は!2500年前の当時の弟子達に向かって発せられた言葉と思うか?今自分に向かって発せられている言葉と思うか?論語を読みながら、青くなったり、赤くなったり、ウームと唸ったり、ハッとしたりするようになったら、やっと一人前の「論語読み」って所でしょうかね。
〔意訳〕
孔子様がおっしゃった、「本当に立派な人は、自慢したり偉ぶったりはしない。ゆったり構えていつも謙虚だ。自慢したり偉ぶったりするのは、自分に自信のない証拠だ。君達は、いつもゆったり落ち着いて、謙虚でありなさい!」と。
〔親御さんへ〕
「野郎(やろう)自大(じだい)」という言葉があります。出典は史記「西南夷(せいなんい)列伝」にありまして、大国漢の使者が未開の野郎国を訪れた際、野郎国の王が自らを強大な存在と思い上がって、尊大な態度で接したことから、「世間知らず、身の程知らずの尊大な態度」を表す言葉となりました。
若い内なら亀田三兄弟のように「礼儀知らず」で済まされますが、いい年をしてこんなことをやっていると、世間から相手にされなくなってしまいます。北朝鮮の金正日(キムジョンイル)や韓国の盧武鉉(ノムヒョン)の態度を見て、「野郎自大」と思わない日本人はいないでしょう。「何を生意気なことを云っているか!」と、大半の日本人が腹の底で思っているのではないでしょうか?
腹を立てても何の得もありませんから、ここは一つ「ああ、これが孔子の云う『小人は驕りて泰(ゆたか)ならず』の見本だな!?」と捉えて、自分にもそういう所がないかどうか?反省の縁(よすが)にしたらいいのではないでしょうか。国家元首としては無徳無能かもしれないが、身を以て人々に反省の縁を提供してくれているという点では、結構役に立っているんですよ、あれはあれで。
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