343 |
憲、恥を問う。子日わく、邦、道有れば穀す。邦、道無くして穀するは、恥なり。 |
344 |
克・伐・怨・欲、行なわれざる、以て仁と為すべきや。子日わく、以て難しと為すべし。仁は則ち吾知らざるなり。 |
345 |
子日わく、士にして居を懐うは、以て士と為すに足らず。 |
346 |
子日わく、邦、道有れば、言を危くし行いを危くす。邦、道無ければ、行いを危くし、言は孫う。 |
347 |
子日わく、徳有る者は必ず言有り。言有る者は必ずしも徳有らず。仁者は必ず勇有り。勇者は必ずしも仁有らず。 |
348 |
南宮适、孔子に問うて曰わく、羿は射を善くし、奡は舟を盪かす。倶にその死の然るを得ず。禹と稷とは躬ら稼して天下を有つ。夫子答えず。南宮适出ず。子日わく、君子なるかな若き人。徳を尚ぶかな若き人。 |
349 |
子日わく、君子にして仁ならざる者有らんか。未だ小人にして仁なる者有らざるなり。 |
350 |
子日わく、之を愛して能く労することなからんや。忠にして能く誨うることなからんや。 |
351 |
子日わく、命を為るに卑ェ之を草創し、世叔之を討論し、行人子羽之を脩飾し、東里の子産之を潤色す。 |
352 |
或るひと子産を問う。子日わく、恵人なり。子西を問う。日わく、彼をや彼をや。管仲を問う。日わく、この人や、伯氏の駢邑三百を奪い、疏食を飯いて、歯を没するまで怨言なし。 |
353 |
子日わく、貧しくして怨む無きは難く、富みて驕る無きは易し。 |
354 |
子日わく、孟公綽、趙魏の老と為れば則ち優なり。以て滕薛の大夫と為るべからず。 |
355 |
子路成人を問う。子曰わく、臧武仲の知、公綽の不欲、卞荘子の勇、冉求の芸の若き、之を文るに礼楽を以てせば亦以て成人と為すべし。曰わく、今の成人は何ぞ必ずしも然らん。利を見ては義を思い、危うきを見ては命を授け、久要は平生の言を忘れざる、亦以て成人と為すべし。 |
356 |
子、公叔文子を公明賈に問うて曰わく、信なるか、夫子の言わず、笑わず、取らざること。公明賈対えて曰わく、以て告ぐる者の過てるなり。夫子、時にして然る後に言う、人其の言うことを厭わざるなり。楽しみて然る後に笑う、人其の笑うことを厭わざるなり。義にして然る後に取る、人其の取ることを厭わざるなり。子曰わく、其れ然り。豈其れ然らんや。 |
357 |
子曰わく、臧武仲、防を以て後を魯に為すを求む。君を要せずと曰うと雖も、吾は信ぜざるなり。 |
358 |
子曰わく、晋の文公は譎りて正しからず。齊の桓公は正しくて譎らず。 |
359 |
子路曰わく、桓公、公子糾を殺す。召忽之に死し、管仲は死せず。曰わく、未だ仁ならざるか。子曰わく、桓公諸侯を九合するに、兵車を以てせざるは、管仲の力なり。其の仁に如かんや、其の仁に如かんや。 |
360 |
子貢曰わく、管仲は仁者に非ざるか。桓公、公子糾を殺して、死する能わず、又之を相く。子曰わく、管仲、桓公を相けて、諸侯に覇たらしめ、一たび天下を匡す。民、今に到るまで其の賜を受く。管仲微かりせば、吾其れ髪を被り衽を左にせん。豈匹夫匹婦の諒を為し、自ら溝瀆に経れて之を知るもの莫きが若くならんや。 |
361 |
公叔文子の臣、大夫僎、文子と同じく諸を公に升す。子之を聞きて曰わく、以って文と為すべし。 |
362 |
子衛の霊公の無道なるを言う。廉子曰わく、夫れ是の如くんば、奚にしてか喪びざる。孔子日わく、仲叔圉は賓客を治め、祝鮀は宗廟を治め、王孫賈は軍旅を治む。夫れ是の如くんば、奚ぞ其れ喪びん。 |
363 |
子日わく、其の言を之れはじざれば、則ち之を為すや難し。 |
364 |
陳成子、簡公を弑す。孔子沐浴して朝し、哀公に告げて日わく、陳恒其の君を弑す。請う之を討たん。公日く、夫の三子に告げよ。孔子日わく、吾大夫の後に従えるを以て、敢て告げずんばあらざるなり。君日く、夫の三子者に告げよと。三子者に之きて告ぐ。可かず。孔子日わく、吾大夫の後に従えるを以て、敢て告げずんばあらざるなり。 |
365 |
子路、君に事えんことを問う。子日わく、欺くこと勿れ。而して之を犯せ。 |
366 |
子日わく、君子は上達し、小人は下達す。 |
367 |
子日わく、古の学者は己の為にし、今の学者は人の為にす。 |
368 |
蘧伯玉、人を孔子に使いせしむ。孔子之と坐して問うて日わく、夫子何をか為す。対えて曰わく、夫子は其の過ちを寡くせんと欲して未だ能わざるなり。使者出ず。子日わく、使なるかな、使なるかな。 |
369 |
子日わく、其の位に在らざれば、其の政を謀らず。
・・・泰伯第八201章重出 |
370 |
曽子曰わく、君子は思うこと其の位を出ず。 |
371 |
子日わく、君子は其の言の其の行に過ぐるを恥ず。 |
372 |
子日わく、君子の道なるもの三つ、我能くすること無し。仁者は憂えず、知者は惑わず、勇者は懼れず。子貢日く、夫子自ら道うなり。 |
373 |
子貢人を方ぶ。子日わく、賜や賢なるかな。夫れ我は則ち暇あらず。 |
374 |
子日わく、人の己を知らざるを患えず、其の不能を患うるなり。 |
375 |
子日わく、詐を逆えず、信ぜられざるを億らずして、抑亦先ず覚る者は是れ賢か。 |
376 |
微生畝、孔子に謂いて曰わく、丘、何為れぞ是栖栖たるものぞ。乃ち佞を為すこと無からんや。孔子対えて日わく、敢て佞を為すに非ざるなり。固を疾めばなり。 |
377 |
子日わく、驥は其の力を称せず、其の徳を称するなり。 |
378 |
或るひと曰わく、徳を以て怨みに報いば何如。 子日わく、何を以てか徳に報いん。直きを以て怨みに報い、徳を以て徳に報いん。 |
379 |
子日わく、我を知ること莫きかな。子貢曰わく、何為れぞ其れ子を知ること莫からんや。子日わく、天を怨みず、人を尤めず、下学して上達す。我を知る者は其れ天か。 |
380 |
公伯寮、子路を季孫に愬う。子服景伯以て告げて曰わく、夫子固に公伯寮に惑える志有り。吾が力猶能く諸を市朝に肆さん。子日わく、道の将に行われんとするや、命なり。道の将に廃れんとするや、命なり。公伯寮、其れ命を如何せん。 |
381 |
子日わく、賢者は世を避く。其の次は地を避く。其の次は色を避く。その次は言を避く。子日わく、作す者七人。 |
382 |
子路、石門に宿る。晨門曰わく、奚れ自りぞ。子路曰わく、孔子自りす。日く、是れ其の不可なるを知りて、而も之を為す者か。 |
383 |
子、磬を衛に撃つ。簣を荷いて孔子の門を過ぐる者有り。曰わく、心有るかな、磬を撃つこと。既にして曰わく、鄙しきかな、硜硜乎たり。己を知ること莫くんば、斯れ已のみ。深ければし、浅ければ掲す。子日わく、果なるかな。之を難しとする末きなり。 |
384 |
子張曰わく、書に云う、高宗、諒陰三年言わずとは、何の謂ぞや。子日わく、何ぞ必ずしも高宗のみならんや。古の人皆然り。君薨ずれば、百官己を総べて、以て冢宰に聴くこと三年なり。 |
385 |
子日わく、上、礼を好めば、則ち民使い易きなり。 |
386 |
子路君子を問う。子日わく、己を脩めて以て敬す。日く、斯くの如きのみか。日わく、己を脩めて以て人を安んず。曰わく、斯くの如きのみか。日わく、己を脩めて以て百姓を安んず。己を脩めて以て百姓を安んずるのは、堯・舜も其れ猶諸を病めり。 |
387 |
原壌、夷して俟つ。子日わく、幼にして孫弟ならず、長じて述ぶること無く、老いて死せず。是を賊と為す。杖を以て其の脛を叩く。 |
388 |
闕党の童子、命を将う。或ひと之を問うて曰わく、益する者か。子日わく、吾其の位に居るを見るなり。其の先生と並び行くを見るなり。益を求むる者に非ざるなり。速やかに成らんと欲する者なり。 |