〔原文〕
周有八士。伯達・伯适・仲突・仲忽・叔夜・叔夏・季随・季騧。
〔読み下し〕
周に八士有り。伯達・伯适・仲突・仲忽・叔夜・叔夏・季随・季騧。
〔新論語 通釈〕
周の盛時に優れた八人の兄弟がいた。上から、伯達・伯适・仲突・仲忽・
叔夜・叔夏・季随・季騧がそれである。
〔解説〕
この八人は四組の双子であったと云うが、それ以外のことは分かっておりません。何度も云うように、伯は長男・仲は次男・叔は三男・季は末っ子を表す言葉で字に用いますが、双子の場合は両方に伯・仲・叔・季を付けるんですね? 長幼の序なし、同格ってことですか、双子は。
前に話したことがあるかも知れませんが、山形塾に何度か遊びに来ていた五つ子ちゃんの元祖山下福太郎君に、「五つ子の上下はどうやって決めるんだ?」と聞きましたら、「出てきた順番のようです」と云っておりました。
考えてみればそうですね、一分でも早く娑婆の空気を吸ったほうが先輩ってのは。どこでもそうかと思っていたら、どうもそうでもないらしい。後から出てきた方を上とする国もあるらしい。帝王切開の場合はどうやって決めるんだろう?分からんね、こういうことは。詳しい人がいたら教えてください。
〔子供論語 意訳〕
周の国が栄えていたころに、八人の立派な兄弟がいた。この兄弟は世にも珍しく四組の双子の兄弟であったという。長男が伯達と伯适、次男が仲突と仲忽、三男が叔夜と叔夏、末っ子が季随と季騧という名前で、双子同士には上下の区別がなかった。
〔親御さんへ〕
解説でも述べた通り、この兄弟が何をやったのか全く分かっておりませんが、四回の出産で四回とも双子の男子が生まれ、しかも全員が立派に育ったというのは、余程珍しかったのでしょう。(字は元服の時に付けるものですから、全員成人したことが分かりますね)
この当時は男子乳幼児の死亡率が高く、男の子は貴重な財産と考えられていたようで、多ければ多いほど良いされました。大変にめでたい話しとして残ったのかも知れません。本章も冒頭の「子日わく」が欠落したものと思われます。
弟子達に周の歴史を講義した際に孔子が語ったものなのでしょうが、記録した者がこの八人兄弟の故事を書き漏らしたのでいないかと思います。論語の中には「何だこりゃあ!?」と思われるような文章が何本もありますが、これもその一つですね。
面白くも何ともありませんが、まあいいか! 双子同士には上下の区別がないことと、姓名の他に字が付いていれば、その人物は成人するまで確実に生きていたことの証明になるってことが分かれば。分からん人もいる訳だからね。
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