郷黨第十 261

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原文                   作成日 2005年(平成17年)7月から9月
升車、必正立執綏。車中不内顧、不疾言。不親指。
 
〔 読み下し 〕
(くるま)(のぼ)りては(かなら)(ただ)しく()ちて(すい)()る。(くるま)(なか)にては、内顧(ないこ)せず、(しつ)(げん)せず、親指(しんし)せず。
 
〔 通釈 〕
車に乗る時は、まっすぐ立って、とりての紐をしっかり握って乗った。車の中では、後ろを振り向いたり、早口で喋べったり、人を指差すことはしなかった。
 
〔 解説 〕

「内顧」とは後ろを振り向くこと、「疾言」とは早口で喋べること、「親指」とは人を指差すことですが、子供の頃これらをやると、祖母にえらく叱られたことを思い出します。「はしたない!」とされていたんですね。殊に人を指差したりすると、パシッと手を叩かれたものです。昔の人は、論語など知らなくても、自然にこういう習慣が身についていたのでしょう。今は叱ってくれる人、いますかねえ?
 

〔 子供論語  意訳 〕
孔子(こうし)(さま)馬車(ばしゃ)()(とき)は、まっすぐ()って()(ひも)にしっかりつかまって()った。馬車(ばしゃ)(なか)では、キョロキョロあたりを()(まわ)したり、ペチャクチャおしゃべりしたり、アレコレ(ひと)(ゆび)さしたりはしなかった。
 
〔 親御さんへ 〕
人前でこの三つをやることは、昔から無作法とされて来たの、知っていますか?特に欧米人の前で人を指差すことは、絶対に禁物です。あれは人を糾弾する時にやる動作なんですね。

内顧(ないこ)(キョロキョロ振り向くこと)・(しつ)
(げん)(早口でペチャクチャしゃべること)・親指(しんし)(人を指差すこと)は、下品なことだと子供のうちから教えておいて下さい。
 
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