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原文
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作成日 2004年(平成16年)7月から11月 |
葉公問孔子於子路。子路不對。子曰、女奚不曰、其爲人也、發憤忘食、
樂以忘憂、不知老之將至云爾。
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〔 読み下し 〕 |
葉公、孔子を子路に問う。子路対えず。子日わく、女奚ぞ日わざる。其の人と為りや、憤を発しては食を忘れ、楽しんでは以て憂いを忘れ、老の将に至らんとするを知らざるのみと。
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〔 通釈 〕 |
楚の葉県(しょうけん)の知事、葉公(しょうこう)が、孔子の人となりを子路に問うた。子路は即座に答えることができず黙っていた。
孔子が後でこのことを聞いて、「どうしてお前はこう云わなかったのか!?私と云う人間は、学問好きで、分からないことがあると発憤して食事も忘れて研究に没頭し、疑問が解けると楽しんでそれ迄の苦労をけろりと忘れてしまう。このように学問に打ち込んで、老いの来るのも気がつかずにいる人です、と!もし今度聞かれたらこう云いなさい!!」と云った。
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〔 解説 〕 |
葉公(しょうこう) 楚の葉県(しょうけん)の長官で、姓は沈 名は諸梁(しょりょう) 字は子高。
「憤を発しては食を忘れ、楽しんでは以て憂いを忘れる」くらいでないと、学問は身につかんのかもしれませんね。弁の立つ子貢ならば、葉公の問いかけにスパッと答えたのでしょうが、口下手の子路は、師の人柄を一言集約するに適当な言葉が見つからなかったのでしょう、真っ赤になってモジモジしていた姿が目に浮かぶようです。
結語の「老いの将に至らんとするを知らざるのみ!」なる孔子の言葉が又いいですね。自己の天分に叶った道で「生涯現役」ってことでしょう?これは。93才すぎても現役で活躍しておられる、日野原重明先生も白川静先生(2006/10逝去)も見事なものです。
定年退職するとガタッと老けたりボケたりする人がいるけれど、人生には定年などないんですから、自己の天分に叶った道で大いに発憤し楽しんだらいい。「年がいもない」などと遠慮する必要はどこにもないんですよ!天分に叶った道であれば。但し、欲と面子だけで発憤されると周りが大迷惑しますから、程々に。
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〔 子供論語 意訳 〕 |
葉県の県知事・葉公が、「孔子様はどんなお方ですか?」と子路に質問した。子路は何と答えて良いか分からず、もじもじするだけであった。後でこのことを聞いた孔子様は、子路に向かって「もし今度同じことを聞かれたら、こう答えなさい!私の先生は、分からないことがあると食事も忘れて研究に打ち込み、疑問が解けると喜んでそれまでの苦労をけろりと忘れる。学問のこととなると、自分の年も忘れるくらいにタフな人です、と!!」とおっしゃった。
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〔 親御さんへ 〕 |
日本の成人男子の自殺率が世界最高になったと報じておりました。近頃の男どもは、ナーバスになり過ぎて、タフ精神を忘れてしまったんでしょうかね?それに比べると、女性は益々タフになって来たようですね。
男は決断は早いが、いざ実行となると躊躇してしまう。その点、女は決断する迄に時間はかかるが、一旦腹が決れば迷わず実行する。「男は度胸女は愛敬」かと思っておりましたが、「女は度胸 男は愛敬」だね、今は。
女が強くなったんじゃなくて、男どもがだらしないから、女が頑張らざるを得なくなったんだね、これは。「勇気とやる気はあるが、元気と根気がない」などと、云ってはいられないね!
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