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原文
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作成日 2005年(平成17年)7月から9月 |
君賜食、必正席、先嘗之。君賜腥、必熟而薦之。君賜生、必畜之。
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〔 読み下し 〕 |
君、食を賜えば、必ず席を正して先ず之を嘗む。君、腥を賜えば、必ず熟して之を薦む。君、生けるを賜えば、必ず之を畜う。
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〔 通釈 〕 |
主君から肉料理を賜った時には、必ず席を正してから頂戴した。主君から生肉を賜った時は、必ずそれを煮てから先祖にお供えした。生きた動物を賜った時は、必ずそれを飼育した。
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〔 解説 〕 |
肉の下賜の仕方にも、調理品・生肉・家畜の三通りあったようですが、さすがの孔子も、生きものを自ら屠殺してまで食べる勇気はなかったようで、一旦飼育して丸々と太らせた後、業者に解体してもらってから食べたのでしょう。
日本人は食肉というと、牛・豚・羊・鶏・鴨位しか思い浮かばないかも知れませんが、海外ではこの他に、鹿・兎・カンガルー・狸・猪・熊・馬・駝鳥・鳩・鰐、そして犬も立派な食肉です。日本人は、犬を愛玩動物としか思ってないようですが、中国人にとっては立派な食材で、犬料理専門店がどこにでもある。
イギリスのサッチャー首相が、中国からパンダを貰ったお礼にとシェパード三頭を贈ったら、中国側から「とても美味しく頂きました!」と礼状が来て腰を抜かした・・・、という逸話があります。それ程中国人にとっては、犬は大好物なんですね。昔、台北の犬料理屋に招待されたことがありますが、スープ以外は手がつけられなかったね。厨房の奥でキャンキャン泣いているんだもの。
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〔 子供論語 意訳 〕 |
孔子様が殿様から肉料理をいただいた時は、必ず居住まいを正した上で頂戴した。生の肉をいただいた時は、必ず調理してからご先祖様にお供えした。生きた動物をいただいた時は、殺して食べずに必ず飼っておいた。
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〔 親御さんへ 〕 |
今の日本では、食肉はすべてカットされてスーパーの店頭に並べられておりますから、日本の主婦で生きた物を処理して料理に供することのできる人など、殆どいないのではないでしょうか?(魚の一匹物を捌ける人も少ないでしょう)
ところが、東南アジアの市場に行きますと、鶏でも山鳩でもアヒルでも兎でも、みんな籠に入れられて生きたままで売買されている。切り分けて売られているのは、牛や豚や羊等の大型動物の肉だけ。市場に買いに来るのは普通の主婦ですから、向うの人達は、どこでも家で処理して料理に供している訳ですね。冷蔵庫や冷凍庫が普及していない所では、むしろ生きたまま流通させた方が合理的なのかも知れません。腐りませんから。
私が子供の頃、鶏を飼っている農家では、祭りか何かの行事があると、皆自分の所で鶏をひねって料理してくれたものです。羽根はどうやってむしるのか?と思って見ておりますと、熱湯に一度漬けてから取るんですね。こうすると毛根からきれいに抜けるし、熱湯消毒にもなる。あれは「湯剥き」と云うんだそうですが、ブロイラー工場では今でもああやっているんでしょうかね?
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