泰伯第八 201

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原文           作成日 2004年(平成16年)11月から2005年(平成17年)2月
子曰、不在其位、不謀其政。
 
〔 読み下し 〕
()(のたま)わく、()(くらい)()らざれば、()(まつりごと)(はか)らず。
 
〔 通釈 〕

孔子云う、「自分がその立場にあるのでなければ、所轄外のことについてあれこれ口出しすべきではない」と。
 

〔 解説 〕

批判精神は大いに結構ですが、定見も持たず野次馬根性だけであれこれ口出しされると、当事者がたまったものではありません。仲間内でぺちゃくちゃやっているうちならまだしも、テレビのワイドショーに出て来る場違いのコメンテーターは困りものですね。

芸能やファッションについて、好き嫌いで論ずるのはいいでしょうが、政治や軍事について好き嫌いで論じられたら、口害(公害)をばら撒くようなものでしょう。オスギとピーコに聞いたって、分かる訳がないでしょう?軍事のことなんか。「ああいうの私キライ!」で終わりですよ。

「キライ!」と云って戦争がなくなったためしはない。むしろ、「キライ!であるがやむにやまれず!!」と云って始まるのが戦争なんですからね。いかに表現の自由・言論の自由が保障されていると云っても、所轄外のことについてはみだりに口出しすべきではありません。口出しするなら、それなりの定見を持ってからやれ!ということですね。
 

〔 子供論語  意訳 〕
孔子(こうし)(さま)がおっしゃった、「(ひと)意見(いけん)素直(すなお)によく()きなさい。自分(じぶん)発言(はつげん)する(とき)は、自信(じしん)のあることだけを()いなさい。自分(じぶん)()()らないことについては、(だま)っていなさい。()ったかぶりして()加減(かげん)無責任(むせきにん)発言(はつげん)をしてはなりません!」と。
 
〔 親御さんへ 〕
こういうことは、子供よりも大人に云った方が良いかも知れません。為政第二33章に「之を知るを之を知ると為し、知らざるを知らずと為す。是れ知るなり」とありますからね。

最近若者と話しをしていて気になることは、自分の意見を述べる時に決まって「〜じゃないですか!?」と、さも多くの人々に認知されているかのような文言を付け加えて、同意を促して来ることですね。あれはやめた方が良い。自信のないことを自ら表明しているようなものだから。

青年部「後畏塾」の塾生の中にも時々おりますから、「烏合の衆のような物言いは止めなさい!自分はこう思う!!とはっきり云いなさい!人がどう思うかはその後だ!!」と注意することにしております。

大分直って来ましたが、まだ時折出るようですね。癖になっているんだね、若者達は。学校の先生は注意しないんでしょうか?自己の意思表示力を持たない、奴隷の物言いですよ、あれは!子供がこういう話し方をしたら、癖になる前に直してあげて下さい。
 
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