述而第七 161

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原文                   作成日 2004年(平成16年)7月から11月
子曰、富而可求也、雖執鞭之士、吾亦爲之。如不可求、從吾所好。
 
〔 読み下し 〕
()(のたま)わく、(とみ)にして(もと)むべくんば、(しつ)(べん)()(いえど)も、(われ)(また)(これ)()さん。()(もと)むべからずんば、()(この)(ところ)(したが)わん。
 
〔 通釈 〕
孔子云う、「いつでも欲しいだけくれるというなら、執鞭の士というみっともない仕事でも我慢して引き受けようが、もしそうでないのなら、自分の好きなように生きたいものだ」と。
 
〔 解説 〕

執鞭の士とは、大名行列の先払いのようなものと考えて良いでしょう。一番下っ端の役人の仕事だったようで、「邪魔だ!どけどけっ!!」と、庶民に威張り腐っていたのではないでしょうか。孔子の時代は賤業とされていたようです。

「いつでも欲しいだけくれるというのなら、賤しい稼業でも引き受けよう」とは、孔子らしくもない物言いですが、欲しいだけくれるようなうまい話しはあり得ないことを前提に云っている訳で、本心は後段の「自分の好きなように生きたい」ですね。

どんな場面で誰に対して語ったものかは分かりませんが、亡命中立ち寄ったどこかの国で貴人の行列に遭遇し、威張り腐って鼻持ちならない木端役人を見て、ぽつりと漏らしたのではないでしょうか。
 

〔 子供論語  意訳 〕
孔子(こうし)(さま)がおっしゃった、「お金(かね)になりさえすればいい!とばかりに(いや)しい仕事(しごと)()()すと、()()ったつもりでも、段段(だんだん)(つみ)意識(いしき)がマヒして(ふか)みにはまって()くものだ。人間(にんげん)は、環境(かんきょう)習慣(しゅうかん)左右(さゆう)される()きものだからね。(はじ)めはお金(かね)にならなくても、自分(じぶん)()きで得意(とくい)(みち)を、あせらず・あわてず・あきらめずコツコツと(がん)(ばっ)てごらん!?(かならず)()()(はな)()く」と。
 
〔 親御さんへ 〕
アテネ五輪女子柔道63キロ級で金メダルをとった谷本歩実選手は、記者から「普段どんなことを心掛けていますか?」と質問されて、「あせらず!あわてず!あきらめず!と自分に言い聞かせています!!」と答えておりましたが、これは金言です。

「努力・忍耐・根性」や「不撓不屈・刻苦勉励・冷静沈着」などと漢語で云うより、「あせらず・あわてず・あきらめず!」と大和言葉で云った方が、ストンと腑に落ちる。若いのにすごいことを云う子だ!と感心しておりましたら、この言葉は三A(さんえー・スリーエーといわない所が又いい)と云って、初めはどこかのスポーツクラブで使われていた標語が、次第に受験塾や学校の部活でも広く使われるようになったんだそうですね。

「ガンバレ!ガンバレ!」と急ぎ立てるより、「あせらず!あわてず!あきらめず!」と励ましてやった方が、子供達も力まず効き目があるのではないでしょうか。これで史上最多の金メダルがとれたんですからね。サッカーも、あちら産の「アイーダ行進曲」なんか止めて、純国産の「愛国行進曲」か「軍艦マーチ」で応援したら、メダルがとれるかも知れませんよ。
 
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