学而第一 011

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原文                       作成日 2003年(平成15年)3月から 4月
子曰、父在觀其志、父沒其行。三年無改於父之道、可謂孝矣。
 
〔 読み下し 〕
()(のたま)わく(ちち)(いま)せば()(こころざし)()(ちち)(ぼっ)すれば()(おこない)()る。三年(さんねん)(ちち)(みち)(あらた)むる()くんば、(こう)()うべし。
 
〔 通釈 〕
孔子云う、「父の存命中は、その志をよく観じ取ってその意志に従いなさい。父が亡くなったら、父のやって来たことをよく振り返って、その遺志を継ぐようにしなさい。たとえ父のやって 来たことに甲乙の判断があるにせよ、せめて喪中の三年位は早計に改めたりしないのが、 孝(父を敬う)というものだ」と。
 
〔 解説 〕
服喪三年というのは、満三年ということではなくて、今で云う三回忌・満二年とちょっと、と 考えていいでしょう。

父親が無類の悪党か、家業が余程のピンチでもない限り、満二年はちょっと長過ぎるにしても、せめて一周忌位迄は、先代の遺志を継承して行った方がいいようですね。1年間はじっくりと自分の構想を練ったら良い。人間は誰でも防御本能がありますから、急激な変化や、 自分でイメージできない事柄に対しては、たとえそれが正しく先見性のある事であっても、 反射的に拒絶反応を起してしまうんですね。

後継ぎがせっかちな性格で、四十九日法要を澄ませた途端、機構改革だ人事異動だと騒ぎ出すと、決まって内部から猛反発を食らってしまう、それもベテランのやり手幹部から。1年間はじっくりと自分の構想を温めておいて、一周忌法要の席で幹部に発表したらいいでしょう。 法要の席であれば、先代の威光も加勢してくれるでしょうから。
 
〔 一言メッセージ 〕
『古くて古いだけのものは滅ぶ。新しくて新しいだけのものも亦滅ぶ。
古くて常に新しいものこそが栄える』
 
〔 子供論語  意訳 〕
孔子(こうし)(さま)がおっしゃった、「お(とう)さんお(かあ)さんはいつも君達(きみたち)(しあわ)せを(ねが)っている。 たとえ()んで天国(てんごく)(かえ)ってもだ。家族(かぞく)(しあわ)せを(ねが)わない(おや)などどこにもいないんだね。だから君達(きみたち)はその(おも)いをしっかりと()()めて、みんなと(なか)(よく)く、うんと(しあわ)せになろうね」と。
 
〔 親御さんへ 〕
私の古くからの知り合いに、創業が江戸時代の文化二年といいますから、西暦に直すと 1805年になるでしょうか、和菓子の老舗の社長さんがおられます。

その方に、以前「伝統を守り続ける秘訣は何ですか?」と質問しました所、「伝統とは革新の連続です!」という答えが返って来ました。「なるほどなあ、ただ伝承しているだけではダメ なんだな!?」と、大変に感銘を受けた覚えがあります。

長年同じことをやっておりますと、ワンパターン、マンネリズムに陥りがちですが、創意工夫・改良改善というのは、どの時代・どの世界に於いても大切なことなんですね。
 
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