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原文
〕 作成日 2003年(平成15年)11月から12月 |
子曰、放於利而行、多怨。
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〔 読み下し 〕 |
子日わく、利に放りて行えば、怨多し。
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〔 通釈 〕 |
孔子云う、「何でもかんでも利益本位で行動すると、後で人から怨まれることが多い」と。
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〔 解説 〕 |
利益は本来価値中立的なもので、それ自体善でも悪でもありません。便利さや快適さや楽しさやおいしさ等々、得る側に多少なりとも為になって役に立つ物事を提供した上で得られた利益、つまり、広く人々の豊かさや幸せの増幅に寄与する事業や仕事で得られた利益は尊いものでありますが、世の中そうとばかりは限りません。
騙したり・脅したり・盗んだり、中には殺したりして奪い取ってしまう利益も現実にありますね。今回のイラク戦争だって、アメリカはこの四つのすべてをやって、イラクの石油を分捕ったんでしょう?一番儲けたのはロックフェラーでしょう!?ロックフェラーの利益の為に、多くの人の血が流され街が破壊されたんでしょう。それでイラク人の怨みを買っている訳ですね。
世の中には五通りの存在形式がある、と、常々皆さんに語っておりますが、
一、なくてはならない物や事。
二、あった方が良い物や事。
の二つで得られる利益は真っ当なもので、「本富(ほんぷう)」と云います。
三、あってもなくても良い物や事。
まこれで得られる利益迄は何とか是認できるでしょう。「末富(まっぷう)」です。
四、ない方が良い物や事。
五、あってはならない物や事。
で得られる利益は、真っ当とは云えない賤しいものでしょう。これを「姦富(かんぷう)」と云います。姦富は必ず人の怨みを買います。
孔子がここで云う利とは、「利益の為には手段を選ばず。敢えて姦富も辞さず」とする態度を述べていると考えて良いでしょう。
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〔 一言メッセージ 〕 |
『寛容の精神・人を敬う気持・惻隠の情は、人に長たるの大前提』
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〔 子供論語 意訳 〕 |
孔子様がおっしゃった、「自分さえ儲かれば良いとガメツクすると、皆に嫌われて除け者にされるよ」と。
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〔 親御さんへ 〕 |
利益(富)とは、豊かで幸せな生活を増幅する為の一つの手段でありますが、これに強欲・権力・虚栄の三つが結び付くと、手段の目的化が起こってしまうようです。人間は利益(富)を得ることだけが目的で生れて来たのではありません。
中には、利益(富)を得たが為に、かえって堕落してしまう場合だってある。得なければ、平凡な善人でいられたものが、得たが為に、我利我利亡者に変貌してしまうケースもあるのです、実際に。
徳が磨かれなければ何にもならんのですね、いくら利益(富)があったとしても。イエスは、「人はパンのみにて生くるにあらず」と述べておりますが、「利に放(よ)りて行えば怨多し」を別の角度から云ったのでしょう。「天の蔵に富を積め!」ということですね。
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