〔
原文
〕
作成日 2003年(平成15年)11月から12月 |
子曰、君子懷徳、小人懷土。君子懷刑、小人懷惠。
|
〔 読み下し 〕 |
子日わく、君子は徳を懐い、小人は土を懐う。君子は刑を懐い、小人は恵を懐う。
|
〔 通釈 〕 |
孔子云う、「為政者が寛容の精神で政治に臨めば、人民は郷土愛に目覚めて自然に働くようになる。為政者が刑罰主義で政治に臨めば、人民は恵を施してもらうことばかり考えて働かなくなるものだ」と。
|
〔 解説 〕 |
この章は新注と古注で解釈が分かれておりまして、古注では君子を為政者・小人を人民と解して「君主が仁政を心掛ければ、人民は郷土に安住して耕作に勤(いそ)しみ、君主が刑罰主義で政治を行なうと、人民は恩恵ばかり望むようになる」とし、新注では君子を立派な人・小人を下らない人と解して「立派な人物は徳の修養を心掛け、下らない人物は安住する土地のみを考える。立派な人物は礼法に叶うことを心掛け、下らない人物は人からもらうことばかり考える」としております。
顔淵第十二に「君子の徳は風なり、小人の徳は草なり。草之に風を上(くわ)うれば、必ずふす」とありますので、ここでは古注に従って通釈してみました。古注に従うならば、「君子徳を懐えば小人土を懐い、君子刑を懐えば小人恵を懐う」と読み下した方が良いと思いますが、テキストに従いました。
刑罰で縛り付ければ縛り付ける程、人民が主体性・自発性を失って働かなくなることは、旧ソ連や今の北朝鮮を見れば分かります。警察国家になればなる程、人は配給を求めて自発的に働かなくなるようですね。北朝鮮がダメなのは、表面は「首領様!将軍様!」と云いつつも、結局人民がバカらしくなって働かなくなったからでしょう。それにしても孔子という人は、人間の本性を本当に良く見抜いていますね。
|
〔 子供論語 意訳 〕 |
孔子様がおっしゃった、「リーダーが大らかでチームワークを大切にすると、メンバーが協力し合って強いチームが出来上がる。リーダーがイライラして怒ってばかりいると、メンバーはコセコセして弱いチームになってしまう。人間にはそれぞれ得意・不得意があるのだから、お互いに補い合っていいチームをつくりなさい!」と。
|
〔 親御さんへ 〕 |
リーダーが変わるとこれ程迄にチームがかわるものなのか!?ということを見せつけてくれたのが、星野監督率いる今年の阪神タイガースでした。二年前に星野さんが監督を引き受けた時のタイガースは、勝つこと以前に、戦うことを知らない集団だったそうです。とにかくコセコセしていて、相手と戦う前に既に自分に負けていたというんですね。
そこで星野監督が立てたマスタープランは、一年目でまず戦う集団につくり変える。二年目で勝てる集団に仕立て上げる、というものだったと云います。どのような指導方針で臨んだのかは分かりませんが、恐らく、選手一人一人に挑戦目標を立てさせて、挑戦して失敗したプレーは咎めない、しかし、御座なりで失敗したプレーは厳しく咎める、まあ積極プレーには仏の星野・消極プレーには鬼の星野で臨んだのではないでしょうか。
スタープレーヤーが一人もいないチームを、たった二年で燃える軍団に仕立て上げて、リーグ優勝してしまった。体がボロボロで今期限りで勇退が決まったそうですが、いい顔になりましたね星野仙一は。
それに比べると、一体何だね?中曽根爺さんのあの往生際の悪さは。憲法改正も教育基本法改正も、代議士を辞めたって見届けられますよ。本当に国家百年の計を慮るのであれば、「人を植うるに如くはなし」でしょう。「中曽根政経塾」でも開いて、後進の指導に余生を捧げる気にはなれんのでしょうかねえ。出処進退の「退」(引き際)で人物の値打ちが決まると云われますが、晩節を汚して欲しくないですね、総理大臣までやった人なのだから。
|