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原文
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作成日 2003年(平成15年)5月から7月 |
子曰、君子周而不比、小人比而不周。
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〔 読み下し 〕 |
子曰わく、君子は周して比せず、小人は比して周せず。
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〔 通釈 〕 |
孔子云う、「出来た人物は、分け隔てなく幅広く人と交わるものだが、くだらない人物は、偏った狭い交わりしかできないものである」と。
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〔 解説 〕 |
人にはそれぞれ相性の善し悪しがありますから、馬の合う人と合わない人が居るのは仕方のないことかも知れません。しかし、だからといって「相性の良い馬の合う人と
しか付き合わない!」などと馬鹿なことを云っていたら、せっかくの人縁(人との出会いの縁)を殺してしまうことになります。地縁のレベルでストップしてしまうんです。否、域の縁にも様々な人が沢山おりますから、このレベルでさえおぼつかないかも知れません。どうもここいら辺が、君子と小人の分かれ目のようですね。
相性の善し悪しと人物の良し悪しは全く別ものなのですが、これを混同してしまいますと、相性の良い人イコール善人・相性の悪い人イコール悪人と錯覚してしまって、余所者(よそもの)を寄せ付けない排他的な人間集団が出来上がってしまいます。
私達がよく知っている人の数、交際のある人の数などはたかが知れております。どれ位いるのかざっと掴みたければ、商売や仕事関係以外で個人的(プライベート)に出す年賀状の数を数えてみれば分かるのではないでしょうか。普通は百通位のものではないですか?二百通以上出す人はそうはいないでしょう、プライベートでは。
新潟市でいえば50万分の100・新潟県でいえば250万分の100・日本国でいえば1億2500万分の100・全世界でいえば60億分の100、たったそれ位のものなんですよ、よく知っている人の数というのは。つまり、圧倒的大多数はよく知らない人ばかりなんですね、世の中は。
たった100人程度の知り合いの中でも、馬が合うというのはせいぜい4〜5人位のものでしょう。逆に馬が合わないというのも4〜5人位でしょう?残りの90人はニュートラルでしょう!?相性の悪い人と無理に付き合う必要はないかも知れませんが、「相性の良い人としか付き合わない!」というのは、このニュートラルな90人(90%)の人達をもシャットアウトしてしまうことと同じなんですね。
「比して周せず」とは、このことを云う訳です。穴熊がほら穴の中でじゃれ合っているようなもので、人格も品性も少しも磨かれないんですよ、これではね。幸い当会は「周して比せず」を標榜する人の集まりですから、ピンと来ないかも知れませんが、皆さんの周りに結構いるんではないですか?こういう人達が。
スポーツクラブやサークル活動や趣味の会等で、馬の合う者同士がグループ内小グループを作って、「やーね!?」とか「ご立派ね!?」とか云いながら、コソコソと仲良しごっこをやっているへんなのが。新人が入って来ると意地悪したり、陰口を叩いたり、排斥したりする浅ましい人間が。
「こんな浅ましい人間とは付き合っていられない!」などと云うと、排他性に於いてあなたも結局は一つ穴の貉(むじな)・同類項になってしまいますから、こういう人とも陰日向なく接することを心掛けた方が良いですね。あなたの排他性を試されているのだと思って、堂々としていなさい!こういう人と接する時は。反面教師を演じてくれているのだと思いなさい、この人達は。「周して比せず」とは、陰日向のある人間になってはいけません!ということなんですね。
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〔 一言メッセージ 〕 |
『陰は陰それ自体で存在することはできない。光の不在、それが陰の正体。
光を当ててやれば陰は消える』
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〔 子供論語 意訳 〕 |
孔子様がおっしゃった、「君達は誰とでも陰日向なくつきあいなさい。気に食わないからといって意地悪をしたり、仲間はずれにしたりしてはいけないよ」と。
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〔 親御さんへ 〕 |
私達は様々な縁の中で生かされておりますが、代表的なものを挙げてみますと、
「血縁(けつえん) (肉親血族の縁)」
「地縁(ちえん) (地域社会の縁)」
「人縁(じんえん) (人との出会いの縁)」
「時縁(じえん) (時代の縁・地球人類同胞としての縁)」
の四つがあります。図に書くと、
となりますが、人はこの地球という星に生を受けた以上、四つの縁から逃れることは出来ませんし、従って、この縁に育まれながら成長して行く他はない訳です。
お釈迦様はこの縁のことを「三世間(さんせけん)(自己を取り巻く三つの世界)と云って、誰もこれから逃れることはできないし、亦、その中で生かされている存在であると述べております。
三世間とは、
一、五陰(ごおん)世間・・直(じか)に触れ合う肉親血族の縁や地域社会の縁。
二、衆生(しゅじょう)世間・人との出会いの縁。
三、国土(こくど)世間・・・地球に生を受けた人類同胞としての縁。
「縁を大切にする者は縁によりて活かされ、縁を粗末にする者は見捨てられる」と申しますが、逃れる事ができないものであるならば、うんと「活縁(かつえん・縁を活かす)」して、「活己(かつき・己を生かし)」→「活人(かつじん・人を活かし)」→「活全(かつぜん・全てを活かす)」人生としたいものですね。「周して比せず」とは「活縁(かつえん)」のこと、「比して周せず」とは「殺縁(さつえん)」のことと思って良いでしょう。
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