為政第二 023

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原文                   作成日 2003年(平成15年)5月から7月
子游問孝。子曰、今之孝者、是謂能養。至於犬馬、皆能有養。
不敬、何以別乎。
 
〔 読み下し 〕
子游(しゆう)(こう)()う。()(のたま)わく、(いま)(こう)()()(やしな)うを()う。犬馬(けんば)(いた)るまで(みな)()(やしな)()り、(けい)せずんば(なに)(もっ)(わか)たんや。
 
〔 通釈 〕
弟子の子游が孝を質問した。孔子は、「近頃の孝は、ただよく養えば良いということのようだ。ならば、犬や馬でも飼う以上はみなよく養っているではないか。親を敬う気持ちがなかったら、何で親と家畜の区別をしたら良いのかね」と。
 
〔 解説 〕

これは何とも耳が痛い。今は介護保険や老人介護施設がありますから、親が呆けると預けるのが当たり前になっておりますが、一度入れたら入れっ放しで、一年に一回位しか面会に行かない人も結構いると聞きます。

皆それぞれ仕事を持っておりますから、毎日という訳にも行きませんし、遠方に住んでいる場合、毎月という訳にも行きませんが、可能な限り面会に行って、分かろうが分かるまいが、手をさすったり背中をさすってやったりすると、何となく気持が通じているような気配が感じられますね。

「お年寄り、早く死のうよ!国の為!!」などと云う恐ろしい標語があるそうですが、今日私達があるのは、みんなお年寄りのお陰ですし、あとしばらくすれば我々もそういう立場になる
訳ですから、勝手なことは云っていられませんね。「敬せずんば何を以て別たんや」と、自分に言い聞かせたいものです。尚、子游とは孔子の弟子で、文学(学問)に優れた孔門十哲の一人です。
 

〔 一言メッセージ 〕
『親孝行したい時に父母はなし、と、ならぬようにしたいものだ』
 
〔 子供論語  意訳 〕
弟子(でし)子游(しゆう)親孝行(おやこうこう)質問(しつもん)した。孔子(こうし)(さま)は、(いま)親孝行(おやこうこう)は、ただ(おや)世話(せわ)をすれば、それで()いとしか(おも)っていないようだね。世話(せわ)をするだけなら、(いえ)()っているペットだってちゃんと世話(せわ)をしているではないか。(おや)(うやま)気持(きもち)がなかったら、どうやって(おや)とペットの区別(くべつ)をするのだろうね?」と(こた)えた。
 
〔 親御さんへ 〕
最近は、盲導犬や介助犬を街中でよく見掛けるようになりました。あの健気(けなげ)な犬の様子を見ておりますと、猛烈にストレスが溜るんだろうな?と思っておりましたが、案の定、普通にペットとして飼われている犬の半分も生きられないそうですね。

本能的な欲求や感情を完全に抑えつけて、主人に忠誠を尽くす訳ですから、それだけ全身の消耗が激しいということでしょう。その点、人間は適当にストレスを発散させる方法を知っておりますから、助かりますね。上手にガス抜きすることも大事なんですよ、人生は。プツンと切れたり、ボキッと折れたりしない為にもね。
 
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