子路第十三 321

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〔原文〕
子適衛、冉有僕。子曰、庶矣哉。冉有曰、既庶矣。叉何加焉。曰、富之。曰、既富矣。叉何加焉。曰、教之。

〔読み下し〕
()(えい)()く、(ぜん)(ゆう)(ぼく)たり。()(のたま)わく、(おお)きかな。(ぜん)(ゆう)(いわ)く、(すで)(おお)し。(また)(なに)をか(くわ)えん。(のたま)わく、(これ)()まさん。(いわ)く、(すで)()めり。(また)(なに)をか(くわ)えん。(のたま)わく、(これ)(おし)えん。

〔通釈〕
孔子が衛に滞在した時、冉有が御者となり衛見物をした。孔子は、「随分人が多いな!?」と云った。冉有は、「確かに多いですね。先生でしたらこの多くの人をどうされますか?」と問うた。孔子は、「まずは人々の日常生活を豊かにすることだ!」と答えた。冉有は更に、「人々の日常生活が豊かになったら、次には何をなさいますか?」と問うた。孔子は、「勿論教育だ!」と答えた。

〔解説〕
論語に何度か登場する管仲の言葉に、「倉廩実()ちて則ち礼節を知り、衣食足りて則ち栄辱を知る」というものがあります。経済が安定し、衣食に事欠くことなく安心して暮らせる社会になって、やっと人民は礼節や栄辱に関心が向くようになる、とでも訳したらいいでしょうか。食うものもなく着るものもないような状況下で、礼儀礼節だ!栄誉だ廉恥だ!と云った所で、土台無理な話、人は聞く耳を持たん!ということでしょう。

マズローの「欲求段階説」によれば、人間の欲求は、

      一.生活維持の欲求(生理欲求)
      二.安定と安全の欲求(安全欲求)

      三.社会的欲求(集団欲求)
      四.自我の欲求(尊敬欲求)

      五.自己実現欲求(芸術欲求)

へと進展する、とありまして、礼節や栄辱は第三段階第四段階の範疇に属するものですから、その前提として衣食足りた第一段階第二段階が満たされていなければならんことになる。本章の孔子の言葉「之を富まさん」→「之を教えん」も、管仲の言葉も、人間の性質を良く見抜いた言葉だったんですね。ただ我々凡人は、「倉廩実ち過ぎれば礼節を失い、衣食足り過ぎれば栄辱を忘れる」傾向がありますから、要注意です。

〔意訳〕
孔子(こうし)(さま)(えい)(こく)訪問(ほうもん)した(さい)弟子(でし)(ぜん)(ゆう)運転(うんてん)市内(しない)見物(けんぶつ)をした。孔子(こうし)(さま)は、「ずいぶん人口(じんこう)(おお)いなあ」とおっしゃった。(ぜん)(ゆう)は、「本当(ほんとう)(おお)いですね。先生(せんせい)でしたらこの(おお)くの(ひと)(たち)(たい)して、どんな政治(せいじ)(おこ)ないますか?」と質問(しつもん)した。孔子(こうし)(さま)は、「まず国民(こくみん)生活(せいかつ)(ゆた)かにしよう!」と(こた)えた。(ぜん)(ゆう)(さら)に、「人々(ひとびと)生活(せいかつ)(ゆた)かになったら、(つぎ)には(なに)をしますか?」と質問(しつもん)した。孔子(こうし)(さま)は、「教育(きょういく)(ほど)して、国民(こくみん)能力(のうりょく)(たか)めよう!」と(こた)えた。

〔親御さんへ〕
人間はじっとしているだけで(寝ているだけで)、一日に1500Kcalを消費する生きものだそうですから、仕事をし生活するとなると一人一日当り2000Kcal、年に73万Kcalは必要になる。これに人口を掛け合わせ、更に天災(水害・冷害・虫害・旱魃等)に備えた備蓄量一年分を加える。とにもかくにも為政者はこれに相当する食糧資源を確保しなければならん訳ですから、国の食糧政策は大変です。更には、安全性を考慮して、人体に有害な化学肥料や農薬・抗生物質・ホルモン剤・防腐剤・添加物等の使用を規制しなければならない。安全で充分な食糧を確保するのは、大変な仕事です。

18世紀、イギリスの経済学者で「人口論」を主張したマルサスは、人口と食糧の関係について、『人口は幾何級数的(掛算的)に増加するが、食糧は算術級数的(足算的)にしか増加せず、従って貧困は自然現象(生態学的決定論)であって、社会制度の欠陥によるものではない』として、禁欲・早婚の禁止・産児制限の必要性を説いた。

この誤った主張が、後に、増えすぎた有色人種の大量間引き(虐殺戦争)も、種の保存本能(生態学的決定論)から来る自然現象の一つである!とする、白人優位の悪魔思想を生むこととなる。何とまあ手前勝手な生きものでしょうか、人間は。智恵の無さを棚に上げて。人は皆、白人にも黄色人にも黒人にも褐色人にも輪廻転生を繰り返しているというのに!

現在地球上には60億の民がおり、世界の食糧生産高は60億人全てを養うに足る充分な量がある。(200年前のマルサスの時代と比べると、人口は4倍になったが、食糧生産高は5倍以上になっている)ところが現実には、満ち足りている人が二割、何とか足りている人が六割、飢えている人が二割いると云う。これは自然現象などではなく、地球規摸に於ける社会制度の欠陥、智恵の欠落でしょう!?分配の仕方が間違っているからでしょう!?奪い合う分配から、分かち合う分配方法に変えれば済むことでしょう!!これ、日本が率先してやることじゃないのかね?

中国は立派に経済大国になったのだから、もう日本からODAをやる必要はない。自力でやってもらえば良い。その分をそっくりアフリカに回してやったらどうなのか?農業技術指導も営農指導も含めて。何なら、数年間丸ごと国を借り受けて、日本のNGOが現地人を雇って農場経営をやればいい。(国がやったら植民地政策と勘違いされるから)

三年もすれば飢餓が解消され、五年もすれば充分満ち足り、十年もすれば立派な食糧輸出国になれる。勿論輸出食糧は全量日本が買い取る。(これを日本の自給率にカウントする)資金を援助し→基盤を整備し→指導者を養成し→雇用を創出し→貧困を解消し→外貨を獲得し→豊かな国をつくり→日本の安全保障にも寄与する。

それはいいアイデアだ!と思うかも知れないが、こんなことは何も目新しいことではない。戦前日本が台湾や朝鮮に対してとった政策なんです。台湾は自立し、製糖業で外貨を獲得する迄に成長したが、朝鮮は最後迄日本からの持出し(お荷物)でした。つまり、朝鮮は、日本に併合されてからずーっと、日本人の税金で養ってもらっていたんです。(こんなことはちょっと調べれば誰でも分かることなんだが)

台湾人は島内で稼げたから日本本土に出稼ぎに来る必要はなかった、しかし、朝鮮人は半島にいるより日本に来た方が稼げたから、どんどん出稼ぎにやって来た。これが今の在日の先祖です。強制的に連れて来られたのではありません。自分の意志で稼ぎに来たのです。それが悔しいものだから、自国の歴史を捏造してまで反日!反日!と騒いでいるんですね。

今度機会があったら、韓国の中等学校で使われている歴史の教科書を見せてもらったら良い、腰を抜かすから。韓国は大東亜戦争で、日本に対して独立戦争を戦った戦勝国となっているんですよ。あの悪名高き東京裁判でさえ、韓国は戦勝国でも敗戦国でもない第三国とされているのに。
 

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