2008−7−12
日中条約30周年を期に、改めて見直す中国人の習性
「古典に学ぶ中国人とのつき合い方」
・・・日本人を騙すことなど朝飯前!・・・
『兵法三十六計』
兵法三十六計を学んでみましょう。兵法三十六計と云えば、その内容は知らずとも、「三十六計走(に)げるに如かず」の言葉位は、誰でも知っている所であります。これは、最後の三十六番目にある計略『走為上・走(に)ぐるを上と為す』から引いたものであります。
さて、その三十六計ですが、いつ・誰の手によって書かれたものか定かではありませんが、五世紀頃の南北朝時代以降に成立したとするのが、一般的なようです。
戦略論として使うには若干問題がありますが、戦術論(あの手・この手)として見るならば、大変示唆に富んだ内容と云えます。してやられないよう、一度学んでおいて損はないでしょう。
第一計
瞞天過海(まんてんかかい)天を瞞(ぁざむ)いて海を過(わた)る
『備え周(あまね)かば則ち意怠る、常に見れば則ち疑わず。陰は陽の内にあり、陽の対(っぃ)に在らず。太陽は太陰なり』
「守りが万全であると思えば、どうしても警戒心が薄くなる。普段見慣れている事には、兎角疑いを抱かなくなる。人の意表を突くような奇策は、もともと人目につきにくい秘密の場所にしまわれている訳ではなく、人目につきやすい所に隠されているものだ。誰にもそれと分かるような所に、しばしば重大な秘策が隠されているものだ」
今日的解釈…「擬装工作・カムフラージュ作戦」
第二計
囲魏救趙(ぃぎきゅうちょう) 魏を囲んで趙を救う
『敵を共にするは敵を分かつに如かず。敵の陽なるは敵の陰なるに如かず』
「集中している敵に攻撃を加えるよりは、先ず相手の兵力を分散させ、その上で攻撃した方がよい。こちらから先制攻撃を仕掛けるよりは、相手の仕掛けを待って、その上で制圧した方がよい」
今日的解釈…「分断工作・待機作戦」
第三計
借刀殺人(しゃくとうさつじん)…刀を借りて人を殺す
『敵すでに明らかにして、友いまだ定まらざれば、友を引きて敵を殺さしめ、自ら力を出さず、損を以て推演(すぃぇん)す』
「敵はすでに策戦行動を起こしているのに、我が同盟国はまだ態度を決めかねている。こんな時は、しゃにむに同盟国を引きずりこんで敵を攻撃させ、我が兵力の温存をはかる。これ則ち易・損卦(そんか)、の『下を損して上を益す』の応用に他ならない」
今日的解釈…「デッチ上げ、人の褌ふんどしで相撲をとる作戦」
第四計
以逸待労(いいつたいろう)…逸を以て労を待つ
『敵の勢(せい)を困(くるし)むるには、戦いを以てせず、剛を損しては柔を益す』
「敵を苦境に追い込むには、必ずしも攻撃を加える必要はない。しっかりと守りを固めて敵の疲れを誘えば、我が方は劣勢から優勢に転ずることが出来る」
今日的解釈…「鋭気を養い、一人相撲をとらせ、敵の疲れを待つ作戦」
第五計
趁火打劫(ちんかだきょう)火に趁(っけこ)んで劫(おしこみ)を打(はたら)く
『敵の害大なれば、勢いに就き利を取る。剛、柔を決するなり』
「敵を苦境に追い込んだ時には、嵩(かさ)にかかって攻め立て、一気に決着をつけなければならない。これは、強者が勢いに乗じて弱敵を打ち負かす策略である」
今日的解釈…「弱みにつけ込み、一気に止めを刺す作戦」
第六計
声束撃西(せいとうげきせい)…東に声して西を撃つ
『敵の志を乱草(らんすぃ)し、虞(はか)らざるは、坤下兌上(こんかだじょぅ)の象なり。その自ら主(つかさ)どらざるを利してこれを取る』
「敵は指揮系統が乱れてバラバラになり、情勢の変化に対応できない。これは淵の水位が上がって今にも決壊しようとする状態に似ている。こんな時は、敵の混乱に乗じて一気に撃滅しなければならない」
今日的解釈…「猫の目・陽動作戦」
第七計
無中生有(むちゅうしょうゆう)…無の中に有を生ず
『誑(あざむ)くなり。誑くにあらざるなり。その誑く所を実にするなり。少しく陰、太(はなは)だ陰、太だ陽なり』
「無いのに有るように見せ掛けて敵の目を欺く。しかし、最後まで欺き通すことは難しいので、いずれ無から有の状態に転換しなければならない。いってみれば、仮のかたちで真の姿を隠蔽し、敵を錯覚に陥れることだ」
今日的解釈…「ほのめかし、見せ掛け作戦」
第ハ計
暗渡陳倉(あんとちんそうい)・・暗(ひそか)に陳倉に渡る
『これに示すに動を以てし、その静かにして主あるを利す。益は動きて巽(したが)う』
「陽動作戦を展開し、敵がその動きにつられて守りを固めたならば、こっそり別方面に迂回して不意打ちをかける。機動作戦で敵の手薄を突く策略である」
今日的解釈…「迂回、不意打ち作戦」
第九計
隔岸観火(かくがんかんか)…岸を隔てて火を観る
『陽乖(はな)れ序乱るれぱ、陰以て逆を待つ。暴戻志雄(ぼうれいしすい)、は、その勢自ら斃(たお)れん。順以て動くは予なり、予は順以て動く』
「敵の内部矛盾が深まって、統制が乱れたならば、我が方はじっと静観して異変の発生するのを待つ。憎しみと反目から殺し合いが始まり、行き着くところ、自滅の道をたどるに進いない。我が方は高見の見物を決め込み、果報は寝て待つのである」
今日的解釈…「高見の見物、果報は寝て待つ作戦」
第十計
笑裏蔵刀(しょうりぞうとう)…笑いの裏(うち)に刀を蔵(かく)す
『信にしてこれを安んじ、陰(ひそ)かに以てこれを図る。備えて後に動き、変あらしむること勿れ。中を剛にして外は柔にするなり』
「友好の誠意を示して敵の警戒心を解き、ひそかに打倒の策をめぐらす。充分に準備を整えてから行動に出る。しかもその際、あくまでも我が方の真意を見破られてはならない。ふところに凶器をしのぼせながら、上辺はにこやかに振る舞う策略である」
今日的解釈…「外面(げめん)似(じ)菩薩・内心如(にょ)夜叉の作戦」
第十一計
李代桃僵(りだいとうきょう)李(すもも)桃(もも)に代わつて僵(たお)る
『勢い必ず損あり、陰を損ないて以て陽を益す』
「戦局の進展いかんによっては、必ずや損害を覚悟しなければならない場合もありうる。そんな時には、部分的な損害と引替に、全体的な勝利を勝ち取らなければならない」
今日的解釈…「損して得取れ、捨て石作戦」
第十二計
順手牽羊(じゅんしゅけんよう)…手に順(したが)いて羊を牽く
『微隙(びげき)の在るは必ず乗ずる所なり。微利(びり)の在る所は必ず得る所なり。少しく陰、少しく陽』
「隙を発見したら、どんな小さい隙でも、すかさずつけ込まなけれぱならない。利益になることなら、どんな小さな利益でもためらわずに獲得しなければならない。どんな小さな不手際でも、敵の不手際につけ込むことができれば、それだけ勝利に近づくのである」
今日的解釈…「ニッチ・トップ(隙間狙い)作戦」
第十三計
打草驚蛇(だそうきょうだ)…草を打って蛇を驚かす
『疑わば以て実を叩き、察して後に動く。復するは陰の媒(ばい)なり』
「敵の動きがつかめなかったら、偵察して確かめ、情況を把握してから作戦行動を起こさなければならない。偵察を繰り返すのは、隠れた敵を発見する手段である」
今日的解釈…「ショックを与えて、反応を見る作戦」
第十四計
借屍還魂(しゃくしかんこん)…屍(しかばね)を借りて魂を還(かえ)す
『用うるある者は、借るべからず。用うる能わざる者は借るを求む。用うる能わざる者を借りてこれを用うるは、我より童蒙(どうもう)に求むるにあらず、童蒙より我に求む』
「人の力に頼らずに自立しているものは、操縦が難しく、利用することも出来ない。逆に、人の力に頼って存在しているものは、こちらの援助を求めているのだ。それを利用して相手の首根っこを押さえる。これは相手から操縦されず、逆に相手を操縦する策略に他ならない」
今日的解釈…「利用出来るものは何でもガメツク利用する作戦」
第十五計
調虎離山(ちょうこりざん)…虎を調(あしら)って山を離れしむ
『天は待って以てこれを困(くるし)め、人を用いては以てこれを誘う。往けば懊(なや)み、来たれば返る』
「有利な自然条件に恵まれた時は、それを利用して敵を苦しめ、さらに、喰いつきそうな餌をぱらまいておびき出す。攻撃しても危険が予想される時は、わざと隙を見せて相手に攻めさせるのである」
今日的解釈…「飴玉でおびき出す作戦」
第十六計
欲擒姑縦(よくきんこしょう)擒(とら)えんと欲すれば
姑(しばら)く縦(はな)つ
『逼(せま)れば則ち兵を反さる。走らしめば則ち勢いを減ず。緊(かた)く随いて迫ることなかれ。その気力を累(つかれ)しめ、その闘志を消し、散じて後擒(とら)うれば、兵、刀に血ぬらず、需は孚(まこと)あり、光なり』
「逃げ道を断って攻めたてれぱ、相手も必死に反撃してくる。だまって逃げるにまかせれば、相手の勢いは自然に弱まる。追撃するにしても、あまり追いつめてはならない。体力を消耗させ、闘志を失わせ、相手がバラバラになるのを待って捕捉すれば、血を流さずに勝利する事が出来る。要するに、じっくりと待てば、良い結果が期待できるのだ」
今日的解釈…「釈迦の掌作戦」
第十七計
抛磚引玉(ほうせんいんぎょく)‥磚を抛(な)げて玉を引く
『類以てこれを誘い、蒙を撃つなり』
「紛らわしいものを使って敵の判断を惑わし、思考を混乱させる」
今日的解釈…「海老で鯛を釣る作戦」
第十八計
擒賊擒王(きんぞくきんおう)…賊を擒(とら)えるには王を擒えよ
『その堅きを摧(くじ)き、その魁(かしら)を奪い、以てその体を解く。竜、野に戦うは、その道窮まるなり』
「主力を撃滅し、首領をひっ捕えさえすれば、全軍を壊滅させることが出来る。そういう相手は、陸(おか)にあがった竜のようなもので、いかようにも料理出来る」
今日的解釈…「急所を狙う作戦」
第十九計
釜底抽薪(ふていちゅうしん)・‥釜の底から薪を抽(ぬ)く
『その力に敵せず、而してその勢いを消すは、兌下乾上(だかけんじょぅ)の象なり』
「敵の勢力が強大で、力では対抗出来ない時は、その気勢を削いで骨抜きにする。則ち、柔よく剛を制すやり方で屈服させるのだ」
今日的解釈…「相手の要人を抱き込んで、骨抜きにする作戦」
第二十計
混水摸魚(こんすいぼぎょ)…水を混(かきま)ぜて魚を摸(さぐ)る
『その陰乱に乗じ、その弱くして主なきを利す。随うは以て晦(ひぐれ)に向かえば入りて宴息(えんそく)す』
「敵が内部混乱を起こし、戦力が低下し指揮系統が乱れているのにつけ込んで、こちらの思うように操縦する。それはちょうど、タ方になれば誰でも家に帰って休息をとるようなもので、どこにも無理のないやり方だ」
今日的解釈…「撹乱してゆさぶる作戦」
第二十一計
金蝉脱殼(きんせんだっこく)…金蝉、殼(から)から脱す
『その形を存し、その勢いを完(まっと)うすれば、友疑わず、敵動かず。巽(したが)いて止まるは、蠱(こ)なり』
「布陣の態勢を堅持して、あくまでも守り抜く構えをくずさない。こうして、友軍には疑惑を抱かせず、敵には進攻する意欲を持たせないでおいて、ひそかに主力を移動させる」
今日的解釈…「釘付けにしておいて目を晦ます作戦」
第二十二計
関門捉賊(かんもんそくぞく)‥門を関(とざ)して賊を捉える
『小敵はこれを困(くる)しむ。剥は、往く所あるに利(よろ)しからず』
「弱小な敵は、包囲して殲滅する。ただし、追いつめられた敵は、死物狂いで抵抗するから、深追いは避けなければならない」
今日的解釈…「一網打尽にして根絶やしにする作戦」
第二十三計
遠交近攻(えんこうきんこう)…遠く交わり近く攻む
『形禁じ勢い格(そむ)けば、利は近く取るに従い、害は遠隔を以てす。上火下択(じょうかかたく)なり』
「戦線が膠着状態に陥った時には、地理的に近くの敵を攻撃するのが有利である。近くの敵を飛び越えて遠方の敵を攻めてはならない。遠方の敵とは、政治目的を異にしていても、一時的に手を結んで事にあたることが出来る」
今日的解釈…「敵の敵は味方作戦」
第二十四計
仮道伐虢、(かどうばっかく)…道を仮(か)りて虢(かく)を伐つ
『両大の間、敵脅(おびやか)すに従を以てすれば、我仮(か)るに勢いを以てす。困は、言うことあるも信ぜられず』
「敵と我が方と二大国にはさまれている小国に対して、もし敵が軍事行動に乗り出して来たならば、我が方もすかさず救援の名目で出兵し、支配下に置かなければならない。こういう小国に対しては、口で約束するだけで実際行動に出なかったら、信頼を勝ち取ることが出来ない」
今日的解釈…「庇(ひさし)を借りて母屋を乗っ取る作戦」
第二十五計
偸梁換柱(とうりょうかんちゅう)…梁を偸(ぬす)み柱を換う
『頻(しき)りにその陣を更(か)え、その勁旅(けぃりょ)を抽(ぬ)き、その自ら敗るるを待ちて、後これに乗ず。その輪を曳くなり』
「しばしば相手の陣形を変えさせたり、ひそかに主力を移動させたりして骨抜きにしたうえ、相手の自滅につけ込んで乗っ取ってしまう。車輪さえ押さえてしまえば、車の運行方向を制御出来るのと同じ理屈である」
今日的解釈…「抱込み・骨抜き作戦」
第二十六計
指桑罵槐(しそうばかい)・・桑を指(ゆびさ)して槐(えんじゅ)を罵る
『大、小を凌ぐは、警(ぃまし)めて以てこれを誘う。剛中にして応じ、険を行いて
順なり』
「強い立場にあるものが弱い立場のものを服従させるには、警告の方法を用いなければならない。適度に強い態度で臨めば、相手を服従させることが出来るし、断固たる態度で事にあたってこそ、相手を心服させることが出来るのである」
今日的解釈…「当て擦り・見せしめ作戦」
第二十七計
仮痴不癲(かちふてん)…痴を仮(ぃっゎ)るも癲せず
『寧ろ偽りて知らずとなして為さずとも、偽りて知るを仮(か)るをなして妄(みだ)りに為すことなかれ。静にして機を露(あら)わさず。雲雷屯(ちゅん)なり』
「利口ぶって軽挙妄動するよりは、寧ろ、わざと馬鹿になったふりをして行動を控えた方が良い。したたかな計算を胸に秘めながら、外にあらわさないのである。それはちょうど冬の雷雲がじっくり力を蓄えて、時を待つ姿にそっくりだ」
今日的解釈…「アホマネ・おとぼけ作戦」
第二十八計
上屋抽梯(じょうおくちゅうてい)…屋に上げて梯を抽(はず)す
『これを仮(ぃっゎ)るに便を以てし、これを唆(そその)かして前(すす)ましめ、その援応を断ち、これを死地に陥(おと)す。毒に遇うとは、位当らざればなり』
「わざと隙をみせて敵を誘い出し、後続部隊を断ち切って包囲殲滅する。敵がそんな結果を招くのも、もとはと云えば、こちらのバラまいた餌に飛び付いたからである」
今日的解釈…「ゴマすって・ヨイショして・足元をすくう作戦」
第二十九計
樹上開花(じゅじょうかいか)…樹上に花を開(さか)す
『局を借りて勢を布(し)けば、力小なれども勢大なり。鴻(かり)、岐(き)に漸(すす)むその羽もって儀となすべし』
「様々な手段を採用して優勢に見せ掛ければ、たとい弱小な兵力でも強大に見せる事が出来る。雁が空を飛ぶ様を見るがよい。翼をいっばいに拡げて、意気盛んなさまを示しているではないか」
今日的解釈…「荒唐無稽・大ボラ吹き作戦」
第三十計
反客為主(はんかくいしゅ)…客を反して主と為す
『隙に乗じて足を挿(さ)し、その主機を扼(おさ)えよ。漸(ぜん)の進なり』
「相手に隙があれば、すかさずつけ込んで権力を奪い取る。ただし、手順を追って一歩一歩目的を達成しなければならない」
今日的解釈…「隠忍自重・大石内蔵助の作戦」
第三十一計
美人計(びじんけい)…美人の計
『兵強きは、その将を攻む。将智なるは、その情を伐つ。将弱く兵頽(くず)るれば、その勢い自ら萎(しぼ)まん。利もて冦(こう)を御し、順にして担保つなリ』
「兵力強大な敵に対しては、指揮官を丸め込む。相手が智謀の指揮官なら、策を講じてやる気をなくさせる。指揮官も兵士もやる気をなくせば、相手は自然に崩壊する。こうして相手の弱点につけ込んで自由に操ることが出来れば、局面を打開して存立をはかることが出来る」
今日的解釈…「飲ませて・抱かせて・握らせて、相手を丸め込む作戦」
第三十二計
空城計(くうじょうけい)…空城の計
『虚なるはこれを虚にし、疑中に疑を生ぜしむ。剛柔の際、奇にしてまた奇なり』
「味方の守りが手薄な時、ことさら無防備であるかのように見せ掛ければ、敵の判断を惑わす事が出来る。兵力劣勢な時にこの策略を使えば、思わぬ効果をあげる事が出来る」
今日的解釈…「裏の裏をかく作戦」
第三十三計
反間計(はんかんけい)…反間の計
『疑中の疑なり。これに比すること内よりすとは、自ら失わざればなり』
「あくまでも敵を疑心暗鬼に陥れて判断を惑わす。中でも効果的なのは、相手の間者を逆用することである。これなら労せずして勝利を収める事が出来る」
今日的解釈…「逆スパイ作戦」
第三十四計
苦肉計(くにくけい)…苦肉の計
『人、自ら害せず、害を受くれば必ず信なり。真を仮(ぃっゎ)りて仮(ぃっゎ)りを真となせば、間以て行うを得ん。童蒙の吉とは、順にして巽(そん)なればなり』
「わざわざ自分からすすんで自分の体を傷つける者はいない。傷ができるのはみな人のせいである。それを逆手にとって、わざと自分を傷つけておいてひとからされたように信じ込ませる事が出来れば、離間の計を成功させることが出来る。ただし、それを敵に信じ込ませる為には、演技が真に追っていなければならない」
今日的解釈…「勧進帳・安宅の関の作戦」
第三十五計
連環計(れんかんけい)…連環の計
『将多く兵多くば、以て敵すべからず。それをして自ら累(つか)れしめ、以てその勢いを殺(そ)ぐ。師にありては中すること吉なりとは、夭寵(てんちょう)を承(う)くればなり』
「敵の兵力が強大な時は、正面から戦いを挑んではならない。先ず、謀略を使って敵同士を牽制せしめ、相手の力を弱める事が肝要である。味方の将師(しょうすい)が巧みに謀略を駆使すれば、勝利を収める事か出来る」
今日的解釈…「のらりくらりしながら次から次へと奇策を繰り出す作戦」
第三十六計
走為上(そういじょう)…走(に)ぐるを上と為す
『全師、敵を避く。左(しりぞ)き次(やど)るも咎(とが)なきは、いまだ常を
失わざるなり』
「全軍退却して敵の攻撃を避けるのである。情況によっては、敢えて撤退することも辞さ
ない。これも又用兵の鉄則である」
今日的解釈…「三十六計逃げるが勝ち作戦」