子張第十九 499

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〔原文〕
曾子日、吾聞諸夫子。孟莊子之孝也、其他可能也。
其不改父之臣與父之政、是難能也。

〔読み下し〕
曽子(そうし)()わく(われ)(これ)夫子(ふうし)()けり。(もう)荘子(そうし)(こう)や、()()()くすべきなり。()(ちち)(しん)(ちち)(まつりごと)(あらた)めざるは、()()くし(がた)きなり。

〔新論語 通釈〕
曽子云う、「私はかつて先生からこんな話しを聞いたことがある。魯の大夫孟荘子の親孝行は、他の孝行者なら誰にでもできることばかりであったが、父の死後、旧臣をそのまま引き立てて用い、父の遺志を継いで政に当った姿勢は、ちょっと真似のできることではない」と。

〔解説〕
孟荘子は三桓(御三家)の一人孟孫氏の一族で、孔子三才の時に亡くなっている。
学而第一011章に「子曰わく、父在(いま)せば其の志を観、父没すれば其の行いを観る。三年父の道を改むる無くんば、孝と謂うべし」とありますが、孔子はこの時に孟荘子の孝行の例を弟子達に語って聞かせたのではないでしょうか?曽子もこの話しをよく覚えておって、自分の弟子達に語ったのでしょう。

〔子供論語 意訳〕
曽先生(そうせんせい)が、「(わたくし)(むかし)孔子(こうし)(さま)からこういう(はな)しを()いたことがある。『()(こく)大臣(だいじん)(もう)荘子(そうし)という(ひと)大変(たいへん)親孝行(おやこうこう)で、みなの()いお()(ほん)であったが、(ちち)死後(しご)(ちち)家来(けらい)だった(ひと)(たち)最後迄(さいごまで)よく面倒(めんどう)()たり(ちち)理想(りそう)をやり()げたことは、ちょっと真似(まね)ができないな』と」と()った。

〔親御さんへ〕
先代の遺志を継いでやり遂げたという話しは、近頃殆ど聞かれなくなりました。最近気になるのは、創業百年以上の老舗がどんどん廃業していることですね。先日も、明治七年創業の新潟で一番古い時計屋が廃業しました。そこの身内とは古くからの知り合いなので、「どうしてやめたの?」と聞きましたら、四代目がやる気をなくした、とのこと。


「何でやる気をなくしたの?」と重ねて問うと、二階の家賃収入で何とかやり繰りして来たが、一年前にテナントが撤退して以降借り手がつかず、一階も含めて丸ごと貸すことにしたそうだ、ということでした。時計屋が不動産屋に商売換えしたと思えば、それはそれでいいんじゃないかな。「古くて古いものは滅びる。新しくて新しいものも又滅びる。古くて新しいものが栄える」って所でしょうか?『伝統とは革新の連続である!』と、肝に銘じてやって欲しいね、老舗は!!
 

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