季子第十六 444

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原文
邦君之妻、君稱之曰夫人。夫人自稱曰小童。邦人稱之曰君夫人。
稱諸異邦曰寡小君。異邦人稱之亦曰君夫人也、
 
〔 読み下し 〕

(ほう)(くん)(つま)(きみ)(これ)(しょう)して夫人(ふじん)()う。夫人(ふじん)(みずか)らを(しょう)して小童(しょうどう)()う。邦人(ほうじん)(これ)(しょう)して(くん)夫人(ぷじん)()う。(これ)異邦(いほう)(しょう)して寡小(かしょう)(くん)()う。異邦人之(いほうひとこれ)(しょう)して(また)(くん)夫人(ぷじん)()
 

〔 通釈 〕
君主が妻を呼ぶ場合は「夫人」という。夫人が自らを称する場合は「小童(しょうどう)」という。人民は君主の妻を「君夫人(くんぷじん)」という。他国の人に向かって称する時は「寡小君(かしょうくん)」という。他国の人がこれを称する時は又「君夫人」という。
 
〔 解説 〕

本章は、頭に「孔子日」が脱落したものであろうとする説もあれば、断簡が紛れ込んだものであろうとする説もある。取り立てて教訓を引き出すような内容は何もありませんが、その他大勢の弟子の中の誰かが、「君主の妻の正しい呼称を教えてください」と質問した際に孔子が答えたものではないでしょうか。
 

〔 子供論語  意訳 〕

殿様(とのさま)奥方(おくがた)()(とき)は「夫人(ふじん)」といい、奥方(おくがた)自分(じぶん)のことを「小童(わらわ)」といい、国民(こくみん)奥方(おくがた)(くん)夫人(ぷじん)」といい、外国(がいこく)(ひと)()かっては「寡小(かしょう)(くん)」といい、外国(がいこく)(ひと)はやはり「(くん)夫人(ぷじん)」というのが、孔子(こうし)(さま)時代(じだい)正式(せいしき)()(かた)であった。
 

〔 親御さんへ 〕

夫が妻を直接呼ぶ際、今はどんな云い方をするでしょうか?

「オイ」・「ママ」・「オカアサン」・「カアサン」・「オカアチャン」・「カアチャン」・「オッカア」・「バアサン」等々‥‥。

他人に対して云う場合、「ツマ」・「カナイ」・「ニョウボウ」・
「オクサン」・「ツレアイ」・「ワイフ」・「カミサン」・「カカア」・「ヤマンバ」・「クソババア」‥‥、

えっ!ヤマンバ・クソババアだって!? ええ、実際にいるんですよこう呼ぶ人が、私の友人に。家では奥さんに頭が上がらないくせに。家では何と呼んでいるか分かりますか?「チャコチャン」だよチャコチャン!いい年こいて!! 久子って云うんだけどね、そいつの奥さんは。私らでもチャコ!と呼び捨てにするのにね、両方とも同級生だから。

ある時、「お前、チャコに何か弱味でも握られているんじゃねえか?」と聞きますと、「うん‥‥、ナニやってる時にうっかり別人の名前を呼んじまって‥‥、それ以来チャン付けで呼ばないと返事はおろかメシも作ってくれなくて‥‥、それで‥‥」というものですから、

「ああ、そりゃダメだ!一生チャン付けで呼ぶしかねえな!!」と云ったら、「ナッ、そうだろう!?」と妙に納得したような顔をしておりました。ああこれホームページに載るのか‥‥、まあいいでしょう、この夫婦、論語など読みませんから。
 

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