衛靈公第十五 405

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〔原文〕
子曰、群居終日、言不及義、好行小慧。難矣哉。

〔読み下し〕
()(のたま)わく、群居(ぐんきょ)して終日(しゅうじつ)(げん)()(およ)ばず、(この)んで小慧(しょうけい)(おこ)う。(かた)いかな。

〔通釈〕
孔子云う「大勢の者が一日中寄り集まって議論しても、話しが一向に本質的な問題に及ばず枝葉末節に終始して、小賢しい知恵を振り回しておる。嘆かわしいのう!」と。

〔解説〕
これ、2500年前の話しですが、今もちっとも変わっていませんね。孔子が今の国会を目にしたら、一体何と云うでしょうか?「党利党略はいい加減にして、もっと国の為に働け!国民の安・富・尊・栄実現の為に働け!!」と云うんじゃないでしょうか。年金ネコババ・横領事件を見たら、何と云うでしょうか?「腹を切れ!」と云うでしょうね。


東京帝国大学教授で末広厳太郎という人が、役人・官僚を皮肉って「役人三則」というものを作ったそうです。

    1、役人は万事広く浅き理解を得る事に務むべし。
    2
、法規を盾にとりて形式的理論をいう技術を習得することを要す。
    3
、平素より縄張り根性の涵養に務めること。

これ戦前のものだそうですが、未だに忠実にこの三則を守っている訳だ役人は。否、一層強固なろものになっているのかも知れない。現代は更に二則加わって、

       
4、同僚の不祥事は互いに庇い合い、内部告発などあるまじきことと
        知るべし。

    5
、今日できることは明日に延ばし、明日できることは明後日に延ばすべし。
       
万事拵(こしら)えごと・繕(つくろ)いごとを為すこと肝要なり。


孔子の云う「好んで小慧を行う。難いかな」を地で行っているようなものだね、これは。

〔子供論語 意訳〕
孔子(こうし)(さま)がおっしゃった、「一日中(いちにちじゅう)()(あつ)まって会議(かいぎ)をしても、みなが()勝手(かって)なことをいい()って建設的(けんせつてき)意見(いけん)(ひと)つも()()ない。たまに()意見(いけん)()たかと(おも)うと、今度(こんど)屁理屈(へりくつ)をこねまわして(あし)()()る。君達(きみたち)はこんな(おろ)かな(もの)のまねをしてはいけません!(ひと)意見(いけん)には謙虚(けんきょ)(みみ)(かたむ)け、自分(じぶん)(しん)ずる(みち)堂々(どうどう)()べなさい!」と。

〔親御さんへ〕
会議の時は一言も発言しなかったのに、イザ決まったあとで、「ああでもない!こうでもない!」と言い出すのは卑怯なことだと、誰もが教わって来た筈ですが、相変わらず無くなりませんね、この悪習は。


ただ、こういう行為を「卑怯者!」と一刀両断してしまうのもちょっと酷なようです。その場の雰囲気に飲み込まれてしまうというのは誰にもあることが経験則で分かっておりますが、最近の脳科学で、これが実験によって確かめられた。

5人を一チームにして、うち4人はサクラで間違ったものを正しい!と云うよう告げられている。一枚の絵を見せてサクラの4人から順番に答えさせ、周りがサクラとは知らずに参加した人に最後に答えさせると、間違っているのでは?と思いながらも、80%の人が前4人と同じ方を正しい!と答えてしまうというのです。これを「同調性バイアス」と云うのだそうですが、分かり易く云えば、「多勢に無勢の論理」と云っても良いのではないかと思います。

マスコミは知ってか知らずかこの「多勢に無勢の論理(同調性バイアス)」を巧みに使って世論操縦をやりますから、余程しっかり目を覚ましておかないと、簡単に「同調性バイアス」の餌食にされてしまいます。A新聞などは「同調性バイアス」を作り出す名人でしょう。

ここ迄論語を学んで来た皆さんならば、「同調性バイアス」に振り回されることなく、自分の信ずる道を堂々と述べて下さい。ここではっきり申し上げておきますが、A新聞の報道姿勢は、孔子の教え・論語の精神とは全く相反するものです。こんな新聞が、海外で日本を代表するクオリティー・ペーパーになっているなんて、日本の恥です。
 

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