雍也第六 146

上へ


原文                     作成日 2004年(平成16年)4月から7月
宰我問曰、仁者雖告之曰、井有仁焉、其從之也。子曰、何爲其然也。
君子可逝也、不可陥也。可欺也、不可罔也。
 
〔 読み下し 〕
(さい)()()うて()わく、仁者(じんしゃ)(これ)()げて、(せい)(じん)ありと(いう)うと雖(いえど)も、()(これ)(したが)わんや。()(のたま)わく、(なん)すれぞ()(しか)らん。君子(くんし)()かしむべきも、(おとしい)るべからざるなり。(あざむ)くべきも、()うべからざるなり。
 
〔 通釈 〕

宰我が、「仁者は、人が井戸に落ちた!と告げられたら、すぐさま飛び込んで救うでしょうか?」と問うた。孔子は「どうしてそんなことがあろうか。君子も人の子だから、急を告げられれば井戸端までは行かせることが出来よう。しかし、騙して井戸に陥れることはできない。筋の通らぬことで騙そうとしても、罔(くら)まされるものではないよ」と答えた。
 

〔 解説 〕

頭の切れる宰我にしてはあまりにも唐突な質問で、額面通りには受け取れません。何か含む所があったのではないかと思います。

陽貨第十七に、公山弗擾(こうざんふつじょう)や佛肸(ひつきつ)が謀反を起こした際に孔子を招こうとした場面があります。孔子はこの招きに応じようとしますが、子路が猛然と反対した為断念します。恐らく宰我もどちらかの場面に居合わせたのではないでしょうか?

師が謀反者に利用されるのを危惧して、井戸に落ちた人の喩えを引いて思い止まらせようとした。師が「欺くべきも罔(し)うべからざるなり」と答えたので、ホッとしたのではないでしょうか。
 

〔 子供論語  意訳 〕
弟子(でし)(さい)()が「(なさ)(ぶか)(ひと)は、(ひと)井戸(いど)()ちたぞ!と()げられたら、いきなり()()んで(たす)けるでしょうか?」と質問(しつもん)した。孔子(こうし)(さま)は、「いいや、本当(ほんとう)(なさ)(ぶか)(ひと)慎重(しんちょう)だから、しっかりとこの()(たし)かめてから(きゅう)(すく)うものだ。あわて(もの)仁者(じんしゃ)とはいわないんだよ」と(こた)えた。
 
〔 親御さんへ 〕

国民年金未納問題で、自民党の閣僚に対して「けしからん!けしからん!」と吠えまくっていた民主党の菅直人が、自分も未納だったことが発覚して、党首を辞任してしまった。目糞が鼻糞を笑っているような話で、まるでマンガだねえ。菅直人じゃなくて菅曲人だよあれは。「人が井戸に落ちたぞ!」と告げられて、いきなり井戸に飛び込んだあわて者だね、菅さんは。

厚生年金に加入しているサラリーマンで、国民年金への切り替え方法を知っているのは、
総務課の連中くらいのもので、他は天引きされているから知りませんよあんなもんは。リストラされるか転職でもしてみなければね。
 

雍也第六 145 雍也第六 146 雍也第六 147
新論語トップへ