里仁第四 090

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原文        作成日 2003年(平成15年)11月から12月    

子曰、君子欲訥於言、而敏於行。
 

〔 読み下し 〕
()(のたま)わく、君子(くんし)(ことば)(とつ)にして、(おこ)ないに(びん)ならんと(ほっ)す。
 
〔 通釈 〕
孔子云う、「君子たる者は、口は訥弁でも良いが、行動は俊敏でありたいものだ」と。
 
〔 解説 〕

孔子は黙々と実行するタイプを好んだようで、口達者はお好みではなかったようです。有言実行よりも不言実行を上と捉えていたのでしょう。
 

〔 子供論語  意訳 〕
孔子(こうし)(さま)がおっしゃった、「君達(きみたち)口数(くちかず)(すく)なく、行動(こうどう)()(ばや)くありなさい!」と。
 
〔 親御さんへ 〕

返事もできない挨拶もできないようでは困りますが、口数が少ない人物には一目置きたくなりますね。明代末期に呂新吾という儒者がおりまして、人物を三等級に分けて論じております。(呻吟語)

  一、深沈厚重なるは第一等の資質なり
      寡黙でどっしりと落ち着いている人物、これが一流の人物である。
     
二、磊落剛勇なるは第二等の資質なり
            気が大きく小事にこだわらない人物、これが二流の人物である。
      三、聡明才弁なるは第三等の資質なり
            頭が切れて弁の立つ人物、これは三流の人物に過ぎない。

西洋でも「沈黙は金、雄弁は銀」という諺がありますから、洋の東西を問わず「深沈厚重の人物」が一流のようですね。ただ、たまに「むっつり助平」もおりますから、「大人(たいじん)は必ず寡黙なり。然れども、寡黙必ずしも大人ならず」といった所ですかな。
 

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