里仁第四 073

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原文       作成日 2003年(平成15年)11月から12月    
子曰、人之過也、各於其黨。觀過斯知仁矣。
 
〔 読み下し 〕
()(のたま)わく、(ひと)(あやま)ちや、各々(おのおの)()(とう)(おい)てす。(あやま)ちを()(ここ)(じん)()る。
 
〔 通釈 〕
孔子云う、「人は皆その類(たぐい)を同じくする所で過ちを犯すものだ。だから、その過ちを観察すれば、その人の人柄は分かってしまう」と。
 
〔 解説 〕

仁をここでは人柄と解釈しました。本当は、「過ちを観て斯に仁(じん)を知る」を「仁(ひと)を知る」と読み下した方が良いと思いますが、テキストに従いました。党とは類(たぐい)のこと、同じ状況・似たような環境・似たような場面と考えてもらって良いでしょう。

人には皆「思いの癖・言葉の癖・行ないの癖」がありまして、自分では中々その癖に気が
付きませんから、気が付かない所で同じ過ちを犯してしまう。更に過ちであることすら気が付きませんから、ケロッと平気な顔をしていられる。先程の人にものを頼まれると反射的に「できません!」という口癖もそうですね、無自覚無前提でやってしまう。

楽天的に考えるか厭世的に考えるかという思いの癖「思癖(しへき)」。肯定的に語るか否定的に語るかという言葉の癖「口癖(くちぐせ)」。前向きに取り組むか後向きに逃げるかという行ないの癖「仕癖(しくせ)」。「無くて七癖有って四十八癖」と云いますから、多かれ少なかれ誰でも癖があるものですが、他人の癖は良く分かるのに、自分の癖は中々分からない、良い癖も悪い癖も。自分の気が付かない癖こそが実は「曲者(くせもの)」なんですね、悪い癖は時として周囲に毒ガスを撒き散らしますから。

悪い癖・毒ガスの最大の被害者は子供でしょう、免疫力がありませんからね。自分の癖が分からなかったら、子供の癖をじっくりと観察したらいい。嫌な癖ほどあなたにそっくりですから。親は子供に教えていると思っているかもしれませんが、子が親に教えていることもいっぱい
あるんですよ、実はね。

前にも云いましたが、念(おも)いが現実を引き寄せますから、楽天的に考え・肯定的に語り・前向きに取り組む人の周りには幸運が吸い寄せられ、厭世的に考え・否定的に語り・後向きに逃げる人の周りからは、幸運が遠ざかるようですね。
 

〔 一言メッセージ 〕
『念(おも)いが現実を引き寄せる。楽天的に肯定的に前向きに
   生きようではないか!』
 
〔 子供論語  意訳 〕
孔子(こうし)(さま)がおっしゃった、「(ひと)(だれ)でも失敗(しっぱい)するものだが、失敗(しっぱい)したらしっ(ぱな)しにしておかず、どこがいけなかったのか()()(かえ)ってみると、ほとんど(おな)(ところ)でしくじっていることが(わか)るだろう。そう!そこが(きみ)のウィークポイントだ。ウィークポイントが()かればあとは簡単(かんたん)だ。そこを重点的(じゅうてんてき)(きた)えたらいい、()(かえ)()(かえ)練習(れんしゅう)してね。(ほう)っておくと、大人(おとな)になっても(おな)(ところ)でしくじるから、(いま)のうちにマスターしておこうね」と。
 
〔 親御さんへ 〕

私の知り合いに、どんな会合でも判で押したように必ず5分遅れて来る人物がおります。その人の同僚に「彼は分刻みでスケジュールをこなしているんですか?」と聞きましたら、「イヤ、至って暇な男です」との返事。「だったらどうしていつも判で押したように5分遅れて来るのでしょう?」と問いますと、「勿体振るのがアイツの悪い癖で、昔からそうなんですよ。勿体振って損しているのが分からないんでしょうね。

会議では彼はオフリミット(立入禁止)ですよ。時間は遅れるは発言は要領を得ないはで、
周りが迷惑しますから」との話し。「勿体振った話し」とか「勿体振った顔つき」というのは知っておりましたが、「勿体振った遅刻」というのもあるんですね。これも悪癖の一つでしょう。

   一、時を守る(時間厳守)
   
二、場を清める(整理整頓)
   
三、礼を正す(挨拶の励行)

の三つは、社会生活を営む上での基本的なマナーですから、第一番目の時間にルーズな人は、何をやらせてもダメなようです。三つともルーズな人は無人島にでも行って、狐や狸と暮した方が楽でしょう。

ルーズ(ゆるくてしまりのないこと)で良いのは、「仕返し」と「借金取り」位のものと昔から相場が決まっておりますからね。どうかお子さんには、時を守る・場を清める・礼を正すの三つは
しっかりと叩き込んでおいて下さい。ちゃんとやれるようになる迄、手を抜いてはいけません。
 

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