里仁第四 070

上へ


原文       作成日 2003年(平成15年)11月から12月    
子曰、苟志於仁矣、無惡也。
 
〔 読み下し 〕
()(のたま)わく、(いやしく)(じん)(こころざ)せば、()しきこと()きなり。
 
〔 通釈 〕
孔子云う、「何はともあれ仁にさえ志していれば、まず悪の道に染まることはないだろう」と。
 
〔 解説 〕

テキスト(仮名論語)では、原文「無悪也」を「悪(にく)むこと無きなり」と読み下しておりますが、「悪(あ)しきこと無きなり」と読んだ方が意味がすっきり通りますので、訂正させてもらいました。孔子は、「仁に志していれば、悪の道に染まることはない!」とサラリと述べておりますが、大聖人というのは、こういう深甚重大なことをサラッと云いますから、うっかりしていると、サラッと聴き逃してしまうんですね。

「仁に志す」とはどういうことかと云えば、「己の欲せざる所は人に施すこと勿れ!(自分がされたら嫌なことは、人に仕向けてはならない)」・「己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す!(自分がこうありたいな、ああなりたいなと思うことがあれば、まず人にやってあげなさい)」ということですから、他のことはどうあろうとも、小さい時からこのことだけでも叩き込
まれていれば、曲がろうにも曲がってみようがない訳ですね。

少年犯罪が激増しているようですが、かつては「ウチの子に限って」で済んでいたものが、
近頃は「もしかしてウチの子が?」と思わざるを得なくなったと聞きます。それだけ今の親は自分の子供に自信が持てなくなっている、というより、子供の教育に自信が持てなくなっている、何をどう教えたら良いか分からなくなっている訳です。

こういう時代にあって、孔子のこの一言は、大いなる福音になるのではないでしょうか?
「何をどう教えたら良いか分からない時は、仁に志すことだけ教えておきなさい。己の欲せざる所は人に施すこと勿れ!己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す!


この二つだけでも繰返し教えておきなさい!!立派になるかどうかはいざ知らず、少なくとも悪に手を染めるようなことだけはしなくなるから」と云っている訳ですからね。

これって本当に大事なことなんですよ。共同体に於ける最低限のマナーは、「人様に迷惑をかけない」ということなんですから。仁志(ひとし)という男子の名前は、この章から採って付けたものでしょう。そう云えば、ジャイアンツに仁志(にし)という苗字の選手がおりますね。
 

〔 一言メッセージ 〕
『どうしていいか分からない時は、仁を拠り所にせよ!』
 
〔 子供論語  意訳 〕
孔子(こうし)(さま)がおっしゃった、(ひと)(やく)()つことをしよう!(ひと)(いや)がることはやめよう!と(おも)(つづ)いれば、自然(しぜん)意地悪(いじわる)なことはしなくなるよ」と。
 
〔 親御さんへ 〕

ダブルインカム・ノーキッズ(共働きで子供を産まない夫婦)が増えて来まして、「なぜ産まないのか?」のアンケート調査では、子供が嫌いだからと答えた人は殆どいなくて、「子育てに自信がないから」と「経済的負担」というのが圧倒的に多かったそうです。

子育ては無我夢中でやりますから、初めから自信のある人などいないと思うのですが、毎日のように報道される少年犯罪を見ていると、余計びびってしまうのでしょうね、親としては、
誘拐する側も地獄、される側も地獄ですから。

中には、子供を虐待するなどという動物以下の親もおりますが、万一自分がそうならないとも限らない、保証の限りではないとなって、益々子造りに腰が引けてしまう。そのくせ子造りの為にする行為だけは、皆人一倍熱心なんですね、どういう訳か。

これでは日本の人口は減る一方ですね、空撃ちばっかりやっていたんでは。人口維持(静止人口)の為には、2.08人の出生率が必要ですが、今は1.3人ですから、これから人口が激減して行くのは確実です。

筑波大学の中川八洋教授の計算によりますと、「日本がこのまま1.3人台の出生率で行くならば、2080年には人口3000万人、2200年には50万人位になって、日本という国はこの地球上に存在していないだろう」と述べておられますが、出生率を上げて行くにはどうしたら良いのでしょうか?

子供を産まない理由として、精神的な理由と経済的な理由の二つがあるようですが、精神的な理由は、「どうやって子供を育てて行ったら良いのか分からない、自信がない!?」という
ものですから、これはもう私共のやっている「子供論語」を親子で一緒に学んでもらえれば解決します。子育てに迷ったら、この章「苟も仁に志せば、悪しきこと無きなり」の一本槍で行ったらいい。

残るは経済的な理由、子供を産めば産む程家計が苦しくなるということですが、これについては、子供一人につき15才になるまで毎年100万円の「子宝奨励金」を支給したら良い。子宝奨励金は国債(国の借金)ではなく、直接政府紙幣を発行する。

現在新生児は年間110万人位ですが、産めば産む程家計が豊になるとなれば、毎年200万人位は産まれるようになり
ますから、200万人×100万円=2兆円、2兆円×15年=30兆円、これをコストゼロの政府紙幣で支給する。

そんなことをしたら猛烈なインフレが起きるのではないか?と心配される向きもあろうかと
思いますが、心配ご無用!日本の潜在供給力は、GDP換算すると800兆ありまして、
800兆―500兆(現在のGDP)=300兆も眠っている訳です。ですから、たかが30兆程度の政府紙幣を発行した所で、インフレなど起きようがありません。インフレは需要が供給を上回った時に発生するものであって、300兆以内であればインフレは起きません。

ついでに云っておくならば、現在の不況はバランスシート不況ですから、銀行の不良債権を100兆円位の政府紙幣で買い取ってやればいいんですよ、簿価でね。こうすれば、アッという間に景気は良くなります。子宝奨励金で子供も増えて有効需要もぐんぐん増えて来ますから将来的にも期待が持てます。日銀に任せておくから、いつ迄経っても埒があかないんですね。
 

里仁第四  069 里仁第四 070 里仁第四  071
新論語トップへ