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原文
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作成日 2003年(平成15年)5月から7月 |
或謂孔子曰、子奚不爲政。子曰、書云孝乎惟孝、友于兄弟、施於有政。
是亦爲政。奚其爲爲政。
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〔 読み下し 〕 |
或ひと孔子に謂いて曰わく、子奚ぞ政を為さざる。子曰わく、書に云う、孝なるかな惟れ孝、兄弟に友に、有政に施すと。是れ亦政を為すなり、奚ぞ其れ政を為すことを為さん。
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〔 通釈 〕 |
ある人が孔子に、「なぜあなたは直接政治に携わらないのですか?」と問うた。孔子は、「書経に『親孝行ほど大切なものはない。親に孝行で兄弟相睦み合うというのが政治にも及んで行く』とあるが、斉家(せいか)【家を斉(ととの)える】が政治の第一歩である。何も政治家になることだけが政治に携わる訳ではない」と答えた。
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〔 解説 〕 |
書とは書経(しょきょう)のこと。尭(ぎょう)・舜(しゅん)の時代から西周(せいしゅう)の穆公(ぼくこう)に至る中国古代の君臣の言行として語り継がれたものをまとめた書で、孔子が編集したと伝えられているが、はっきりしない。虞書(ぐしょ)・夏書(かしょ)・商書(しょうしょ)・周書(しゅうしょ)の四部からなり、更に五十八篇に分かれている。上記文章は、周書君陳(くんちん)篇にある。
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〔 一言メッセージ 〕 |
『国には国政、県には県政、市には市政があるように、家にもちゃんと家政がある』
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〔 子供論語 意訳 〕 |
ある人が孔子様に「あなたはどうして政治家にならないのですか?」と質問した。孔子様は、「古い書物に『親子兄弟仲良くすれば家庭は円満。これが政治の始まり』とある。何も政治家になるだけが政治をすることではないんだね」と答えた。
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〔 親御さんへ 〕 |
孔子の考える理想社会実現の段階的方法論は、
修身(しゅうしん) 【我が身を修める】→
斉家(せいか) 【家庭を斉(ととの)える】→
治国(ちこく) 【国を治める】→
平天下(へいてんか)【世界が平和に治まる】
の順に内から外へ広げて行くというものでしたが、ここでは斉家について述べたものと思われます。
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