為政第二 037

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原文                  作成日 2003年(平成15年)5月から7月

或謂孔子曰、子奚不政。子曰、書云孝乎惟孝、友于兄弟、施於有政。
是亦爲政。奚其爲爲政。
 

〔 読み下し 〕
(ある)ひと(こう)()()いて()わく、()(なん)(まつりごと)()さざる。()(のたま)わく、(しょ)()う、(こう)なるかな()(こう)兄弟(けいてい)(ゆう)に、(ゆう)(せい)(ほどこ)すと。()(また)(まつりごと)()すなり、(なん)()(まつりごと)()すことを()さん。
 
〔 通釈 〕
ある人が孔子に、「なぜあなたは直接政治に携わらないのですか?」と問うた。孔子は、「書経に『親孝行ほど大切なものはない。親に孝行で兄弟相睦み合うというのが政治にも及んで行く』とあるが、斉家(せいか)【家を斉(ととの)える】が政治の第一歩である。何も政治家になることだけが政治に携わる訳ではない」と答えた。
 
〔 解説 〕
書とは書経(しょきょう)のこと。尭(ぎょう)・舜(しゅん)の時代から西周(せいしゅう)の穆公(ぼくこう)に至る中国古代の君臣の言行として語り継がれたものをまとめた書で、孔子が編集したと伝えられているが、はっきりしない。虞書(ぐしょ)・夏書(かしょ)・商書(しょうしょ)・周書(しゅうしょ)の四部からなり、更に五十八篇に分かれている。上記文章は、周書君陳(くんちん)篇にある。
 
〔 一言メッセージ 〕
『国には国政、県には県政、市には市政があるように、家にもちゃんと家政がある』
 
〔 子供論語  意訳 〕
ある(ひと)孔子(こうし)(さま)に「あなたはどうして政治家(せいじか)にならないのですか?」と質問(しつもん)した。孔子(こうし)(さま)は、「(ふる)書物(しょもつ)に『親子(おやこ)兄弟(きょうだい)(なか)()くすれば家庭(かてい)円満(えんまん)。これが政治(せいじ)(はじ)まり』とある。(なに)政治家(せいじか)になるだけが政治(せいじ)をすることではないんだね」と(こた)えた。
 
〔 親御さんへ 〕

孔子の考える理想社会実現の段階的方法論は、

   修身(しゅうしん)    【我が身を修める】→
   斉家(せいか)          【家庭を斉(ととの)える】→
   治国(ちこく)          【国を治める】→
   平天下(へいてんか)【世界が平和に治まる】

の順に内から外へ広げて行くというものでしたが、ここでは斉家について述べたものと思われます。
 

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