為政第二 036

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原文                  作成日 2003年(平成15年)5月から7月
季康子問、使民敬忠以勸、如之何。子曰、之以則敬。孝慈則忠。
善而教不能則勸。
 
〔 読み下し 〕
()康子(こうし)()う、(たみ)をして(けい)(ちゅう)にして(もっ)(すす)ましむるには、(これ)如何(いか)にせん。()(のたま)わく、(これ)(のぞ)むに(そう)(もっ)てすれば(すなわ)(けい)す。孝慈(こうじ)なれば(すなわ)(ちゅう)あり。(ぜん)()げて不能(ふのう)(おし)うれば(すなわ)(すす)む。
 
〔 通釈 〕

魯の大夫(家老)季康子が、「人民がお上を敬い忠(まこと)を尽くして仕事に励むようにするにはどうしたらよいか?」と問うた。

孔子は、「上に立つ者は、一に常に堂々とした態度で臨むこと、そうすれば人民は自然に上を敬うようになる。二に自ら親に孝行し子を慈しむ範を示すこと、そうすれば人民はこれを見習って忠(まめ)になる。三に善い人物を登用して未熟な者を教育すれば、人民は自然に仕事に励むようになります」と答えた。
 

〔 解説 〕

季康子とは三桓(御三家)の一人季孫氏のこと。孔子はここでも「善を挙げて不能を教う」と述べておりまして、「能を挙げて不能を教う」とは述べておりません。全くの無能では困りますが、そこそこの能力ならば、人物本位で登用せよ!ということですね。
 

〔 一言メッセージ 〕
『能力が互角なら人物でとれ、人物も互角ならキャリアでとれ、キャリアも互角なら  体力でとれ、体力も互角なら・・・カミサンを見てとれ!』
 
〔 子供論語  意訳 〕
()(こく)大臣(だいじん)()康子(こうし)が、「国民(こくみん)政治家(せいじか)尊敬(そんけい)し、(くに)忠誠(ちゅうせい)【まごころ】を()くし、勤労(きんろう)【しごと】に(はげ)むようにするには、どうしたら()いでしょうか?」と質問(しつもん)した。孔子(こうし)(さま)は、「(いち)政治家(せいじか)信念(しんねん)()って堂々(どうどう)(のぞ)むこと。こうすれば国民(こくみん)政治家(せいじか)尊敬(そんけい)するようになります。()にお(とし)(より)子供(こども)大切(たいせつ)にする政治(せいじ)(おこ)なうこと。こうすれば国民(こくみん)老後(ろうご)心配(しんぱい)もなく(くに)忠誠(ちゅうせい)()くすようになります。(さん)役人(やくにん)には善良(ぜんりょう)(ひと)(えら)んで、正直者(しょうじきもの)がばかを()ないよう行政(ぎょうせい)指導(しどう)(おこ)なうこと。こうすれば国民(こくみん)()われなくとも仕事(しごと)(はげ)むようになります」と(こた)えた。
 
〔 親御さんへ 〕

やっていいこととやってはいけないことを、子供のうちからしっかり躾ることは、親として当たり前ですが、物事はそう単純ではありませんから、五段階位に分けて、褒める・叱るの濃淡をつけてみたらいかがでしょうか。

      1.大いに良いこと(人を助けたり役に立った時等)    →うんと褒めて
                                                                                ご褒美を与える。
  2.ちょっと良いこと(手伝いをしたり等)                →褒める。
  3.良くも悪くもないこと(普通で当たり前のこと)   →なにもしない
  4.ちょっと悪いこと(云い付けを守らなかったり等)→叱る。
  5.大いに悪いこと(物を盗んだり嘘をついた時等)       →うんと叱って
                                                                               痛い目にあわせる 。

ただその前に、何が大いに良くて何が大いに悪いことなのか?何がちょっと良くて何が
ちょっと悪いことなのか?親自身よーく考えて弁別しなければなりませんから、子供だけでなく親の教育にもなりますね、これは。
 

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