学而第一 013

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原文                            作成日 2003年(平成15年)3月から 4月
有子曰、信近於義、言可復也。恭近於、遠恥辱也。因不失其親、亦可宗也。
 
〔 読み下し 〕
(ゆう)()()わく、(しん)()(ちか)ければ、(げん)()むべきなり。(きょう)(れい)(ちか)ければ、恥辱(ちじょく)(とお)ざかる。()ること、()(しん)(うしな)わざれば、(また)(そう)とすべきなり。
 
〔 通釈 〕
有子云う、「一旦約束したことが道義(社会正義)に叶っているならば、その通り実行して 良いだろう。うやうやしさがちゃんと礼に叶っていれば、人から馬鹿にされることもないだろう。 婚姻によってできた新しい親類とも、親しく交際できるようになれたら、まずまず合格と云った ところだね」と。
 
〔 解説 〕
これを逆説的に云うならば、一旦約束したことであっても、後で道義に反することであると気付いたならば、キッパリと止めなさい。うやうやしいのは結構だが、取って付けたような仕草では人様に馬鹿にされるぞ。結婚して、配偶者の親族ともまともに付き合えないようでは、世間 知らずの変わり者と見られるぞ。となりましょうか。「因ること、其の親を失わざれば、亦宗と すべきなり」の解釈には、古来様々なものがありますが、因を姻・婚姻による姻戚ととって通釈してみました。
 
〔 一言メッセージ 〕
『たとえ口約束でも約束は約束、必ず守れ!しかし、後で道義に反するものであることに 気付いたら、キッパリと止めよ!!』
 
〔 子供論語  意訳 〕
(ゆう)先生(せんせい)()った、「約束(やくそく)したことはきちんと実行(じっこう)しなさい。しかし、一旦(いったん)約束(やくそく)はしたけれど、(あと)でよく(かんが)えてみたらいけないことだと()づいたならば、キッパリと()めなさい。 ものごとを、ていねいにやることはいいことだが馬鹿(ばか)丁寧(ていねい)()ぎて、自分(じぶん)一人(ひとり)だけ(おそ)くなると、チームのメンバーに迷惑(めいわく)をかけるから、(はや)くやれるように練習(れんしゅう)しなさい。 さて、君達(きみたち)はいとこが何人(なんにん)いるかな?お(とう)さんの兄弟(きょうだい)子供(こども)(たち)、お(かあ)さんの兄弟(きょうだい)子供(こども)(たち)、ぜーんぶ()わせたら何人(なんにん)になるかな?10(にん)かな?20(にん)かな?お父(とう)さんの仕事(しごと)関係(かんけい)で、北海道(ほっかいどう)にいたり、沖縄(おきなわ)にいたり、東京(とうきょう)にいたり・・・、(なか)にはニューヨークにいたり、ロンドンにいたり、北京(ぺきん)にいたり・・・と、国内(こくない)のみならず国際(こくさい)(しょく)(ゆたか)だね。いとこと(なか)()(した)しくするってことは、とても(ため)になるし(たの)しいことなんだよ。日本(にほん)のことだけでなく外国(がいこく)のことも()かるからね」と。
 
〔 親御さんへ 〕
親同士が従兄弟関係にある間柄をはとこ(再従兄弟)とか、またいとこ(又従兄弟)と云いますが、 ここまで来ると、地元に居住している人以外は分からなくなってしまいます。英語では従兄弟のことをファーストカズン、又従兄弟のことをセカンドカズン、又又従兄弟のことをサードカズンと云うそうですが、せめて素性のはっきりしているファーストカズン位迄は、きちんと親戚付き合いをしたいものですね。人は、血縁-地縁-人縁-時縁の中で生かされているのですから。
 
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